「ストーリィ(STORY)」「美STORY(現・美ST)」(光文社)、「ドレス(DRESS)」(幻冬舎)の編集長を歴任し、“美魔女”を世に広めた山本由樹氏がフリーマガジン「トウキョウ ボイス(TOKYO VOICE)」を7月30日に創刊し、同誌の編集長に就任する。企画制作はフラッガーテン。
タブロイド版で10月からは隔月発行予定。創刊号は4万〜5万部を想定している。設置場所は、ビームス(BEAMS) 、「セシルマクビー(CECIL MCBEE)」 、「サマンサタバサ(SAMANTHA THAVASA)」カフェ・カンパニー(CAFE COMPANY)、トランジットカフェ(TRANSIT CAFE)、バルニバービー(BALNIBARBI)の他にも、9月16日に幕張メッセで開催されるガールズアワードでも1万5000部を配布予定だ。ターゲット設定はないものの、勝負するのは10代~20代だという。
「トウキョウ ボイス」の挑戦として、「書籍や雑誌の存在、書店の存在がゆらぎ変わり始めている。では、全てがデジタルになる?いや、若者はそれを求めているのではない。スマホが当たり前になった今、手帳やフィルムカメラを買い求める若者も増えている。書店でもネットでもない、第三のメディアの可能性。そしてFREEという挑戦的な価値。それが置かれるカフェやショップの価値を向上させるような、全く新しいメディアを目指す」としている。
フリーマガジンを作るきっかけについて山本編集長は、「私はずっと月刊誌の編集長をやっていて、今まで3冊の月刊誌を編集してきた。一昨年、月刊誌『ドレス』の編集長を辞めたあとから考えていたことがあって、それは『書店売りのメディアではないものを作りたい』『タダのものを作りたい』ということ。『タダっていうものを力に変えられる』メディアを作れないのかな、というのが一番原点にある。そこから自分でアイデアを練っていく上で、自分の心を支えてくれたのが『心を動かすような体験ができるものを作りたい』ということ。『トウキョウ ボイス』って何ですか?と聞かれたら『あなたの心を震わせるようなものです』って言えるものを作りたい」と話す。
創刊号では高校卒業後、大学に行かず女優を目指す女の子、トランスジェンダーのシンガーソングライター、40年前家を出て行った旦那さんを待ち続ける居酒屋のおばあちゃんらが登場する。「一生懸命生きている人の声がそこにある。創刊号を読んでいただくと分かるが、ターゲティングしてない。誰もが幸せになりたいって考えている。それぞれの人生の中でもっといい自分に出会いたいとかみんな思いながら暮らしている。あるいは悩みを抱えていて、どうやったらその悩みから抜け出せるのかって苦闘している。未来ではなく、現在を切り取る言葉が並んでいる。そんなリアルな言葉に共感してもらえればいいなと思っている。それにより読者の心が動いたり、一歩踏み出す背中を押されたりすることを目指している。スマホ世代の若い人たちにも、タブロイド版を新しいメディア体験として知って欲しい」と山本編集長。