タイ国政府商務省国際貿易振興局が日本で初めて開催した「日-タイ繊維商談会」は、機能素材に焦点を当て、タイの繊維関連企業13社による素材がでそろった。
中でも注目は、ユナイテッド・テキスタイル・ミルズが提案したフィラーゲン素材だ。同社の主力事業はオーガニックコットンだが、担当者によると「機能素材への需要は年々高まっている」という。今回新たに開発したフィラーゲンは、身につけると保湿やUVカット、防臭効果が期待できるという。日本国内ではまだ販売実績がないが、「直接肌に触れるインナーやパジャマを展開する企業を中心に営業をかけていきたい」とのこと。商談会には他にも、日本のアウトドアブランドや自動車メーカー向けに生地を販売するサンタヴィーや、日本の大手SPAのニット製品を多く手掛けるリービーワットグループなども出展した。
タイの出展企業をコーディネートした日本繊維輸入組合の古宮滋・主任研究委員は、日本の厳しい品質基準に沿ったモノづくりのノウハウは確実に蓄積されていると見る。一方で今後の課題について「タイはASEAN地域の中では人件費が高く、ラオスやカンボジアに分工場を持つ企業も増えている。今後は機能素材など、付加価値を持たせないとタイの企業も生き残っていけない」と話す。現状は多くのタイ企業が、ロットが大きく利益率が高い欧米との取引をメーンにしているが、長い目で見れば日本企業との取引も必要と指摘する。「もうけは欧米、品質を高めてくれるのは日本。つかず離れずの関係を保っていきたいというのが本音ではないか」。
この商談会は、日本とタイの繊維企業が相互に協力しながらビジネスを発展、拡大することを目的にしている。