「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」はロサンゼルスにあるバッグ販売会社「マイ・アザー・バッグ(MY OTHER BAG)」が同ブランドのモノグラムトートをキャンバスバッグにプリントした行為が商標侵害だと主張する一連の訴訟について、2016年12月に下された二審の判決を不服としてアメリカ合衆国最高裁判所に上告した。
「ルイ・ヴィトン」は、「マイ・アザー・バッグ」が「パロディーの域を超え、『ルイ・ヴィトン』の商標を希釈している」と主張して、14年に告訴。16年1月の一審判決でも、同年12月の二審判決でも同社の訴えは認められず、上告に踏み切った。
アメリカの商標法では、「消費者の混同」を招かない限り、パロディーの一環として商標の複製が認められているが、どこまでがパロディーでどこからが商標権の侵害なのかは条文中に明記されているわけではない。そのため、米国憲法修正第1条の表現の自由がどこまで認められるかがしばしば争点となる。本件訴訟も消費者の混同を招く恐れはなく、パロディーの範囲とみなされて訴えが棄却された。これに対して「ルイ・ヴィトン」はパロディーの域を超え、有名な同ブランドの商標に「タダ乗り」していると主張している。
知的財産に精通しているジェド・ファーディナン(Jed Ferdinand)弁護士は、「ルイ・ヴィトン」の心情に理解を示しつつも、本判決は妥当だとみている。また、最高裁は国にとって重要とみなされた事案のみを取り扱うため、本件は最高裁で審議される可能性は限りなく少ないと予想している。一方で、こうした訴訟を提起することで、「ルイ・ヴィトン」が商標侵害等に対して強気な姿勢をとるというメッセージを発信していく狙いがあるのではないかと分析する。