「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は7月20日、同社11カ国目のECサイトを中国向けに開設した。まずは、北京、上海をはじめとする12の都市で展開し、その他の地域も順次カバーしていく。
ラグジュアリー市場では購買の3分の1を中国人消費者が担っている。ルカ・ソルカ(Luca Solca)=エクサンBNPパリバ(EXANE BNP PARIBAS)ヘッド・オブ・ラグジュアリーグッズは「ヨーロッパのラグジュアリーブランドがついに中国のラグジュアリーデジタル市場に参入してきた。この状況は予期していたことで、むしろ遅いくらいだ」と話す。また、ロゲリオ・フジモリ(Rogerio Fujimori)RBCキャピタル・マーケッツアナリストも、「為替変動による価格差や、中国政府によるECの税関手続きの簡素化によって、ネット経由でラグジュアリー商品を購入する中国人消費者が増加している。ヨーロッパのラグジュアリー企業のECサイト開設の動きは合理的だ」と指摘する。
エクサンBNPパリバ調べによると、主要な34のラグジュアリーブランドのうち中国で自社ECサイトを展開しているのはたった21ブランド。大手ECサイトの「Tモール」や「JDドットコム」が依然として強いシェアを誇る中国では、ヨーロッパのラグジュアリーブランドが後れをとっていることがわかる。一方で、アメリカでは32ブランド中31ブランドが、イギリスでは32ブランド中30ブランドが自社ECサイトを開設しているという。
中国で最も使用されているチャットアプリ「ウィー チャット」はラグジュアリーEC市場拡大における試金石となっており、「ディオール(DIOR)」「ブルガリ(BVLGARI)」「バーバリー(BURBERRY)」などが同アプリ経由で販売してきた。しかし、ブランドイメージを守るため、販売に関する全てをコントロールしようとする動きが活発になっている。また、巨大なトラフィックを狙ってアリババの「Tモール」に出店しているラグジュアリーブランドは多いが、模造品を野放しにしたことでアリババが訴えられるという事案も発生している。模造品対策のためにも、自社ECサイトの開設は必至の情勢になっている。