SNSの普及がきっかけで、家具の通販に注目が集まっている。これまで自宅のインテリアを人に見せる機会は少なかったが、インスタグラムをはじめとするSNSの台頭でフォトジェニックなインテリアを投稿するユーザーが増加、“衣食”に使っていたお金を“住”に使う人が増えたためだ。しかも、インテリア業界のEC化率は経済産業省によれば15年時点で平均16.7%といわれ、10%にも満たないアパレルと比べてもECでの売り上げが重要視されることが分かる。
家具EC全体が好調かといえば、そうではない。経済産業省によると、家具全般のECでも雑貨や家事消耗品など低単価商品の占める割合が高く、大型家具の売り上げはほぼ横ばいという。EC化率が高いことも、決してポジティブな結果ではない。その原因は店頭坪効率の悪さといわれる。展示に広いスペースを必要とする家具はカラーバリエーションやサイズ違いの展示に向かず、ブランドも主力商品を除く多くの商品をカタログ販売している現状がある。
しかも、大型家具に限っては客単価の減少が続く。その要因はニトリやイケア、良品計画といった手頃な商品を扱う大手企業の台頭だろう。しかし、問題の根本は、その他の家具ブランドがECサイトや実店舗で顧客との接点を持てていないことにもある。たしかに、アパレル通販に比べると、家具を手掛ける目立ったECサイトは多くない。家具を探す顧客からも、「欲しい家具や予算はあっても、どこのお店に売っているかが分からない。ネットで検索するにも、そもそも何と検索すればいいかが浮かばない」といった声は多い。
家具EC「フライミー(FLYMEe)」を運営するフライミーの坂本如矢・社長は、ここに家具ECのポテンシャルが潜むと考える。「情報がないことが課題。市場の家具のほとんどがカタログ上に埋もれていて、どこにいけばどんな家具を買えるのかが分からない顧客が多いのではないか」と指摘する。フライミーは「LIFULL HOME’S(ライフル ホームズ)」を運営するLIFULL や「Tサイト(T-SITE)」を運営するCCCグループの株式会社TSUTAYA(旧T-MEDIAホールディングス)とも協業するなど、家具ECの発展に独自の戦略で立ち向っている。坂本社長は、「埋もれている情報を掘り起こすことがミッション。住にこだわりがあって家具やインテリアを探す人が、価格に合った満足する選択肢に出合えないことが問題である」と語る。「大型家具の全国配送には複雑な配送システムが必要だったりと通販でのハードルが高いのも事実だが、まずはうまく消費者がブランドを認知できるような環境を整えたい」。