三陽商会は27日に開催した2017年1~6月期決算会見で、2019年12月期を最終年度とする新経営計画の進捗状況を発表した。構造改革として1~6月期に、140売り場の撤去を計画していた不採算売り場を、前倒して162売り場クローズ(廃止ブランド120、不採算売り場42)。販管費の削減により、営業損益は16億円の赤字(前年同期は58億円の赤字)へと赤字幅を大幅に縮小した。今後の成長戦略として、従来の百貨店を中心にする販路に依存しない、駅ビルやファッションビル、卸業、ECなどの新たな販路を拡大することを強調した。
成長戦略に「直営店の強化」「コーポレートブランド事業の強化」「EC売り上げの拡大」の3つを掲げ、進行中だ。百貨店以外の販路を模索し、「ブルーレーベル・クレストブリッジ(BLUE LABEL CRESTBRIDGE)」と「ブラックレーベル・クレストブリッジ(BLACK LABEL CRESTBRIDGE)」では、駅ビルやファッションビルへの期間限定店の出店を進めている。卸では今秋、「08サーカス(08SIRCUS)」のデザイナーとして知られる森下公則との新コートライン“キミノリ モリシタ + ブルーフラッグ(KIMINORI MORISHITA + BLUE FLAG)”をスタートし、セレクトショップでの販売をスタート。「マッキントッシュフィロソフィー(MACKINTOSH PHILOSOPHY)」では、直営店「MPストア」(仮称)の出店を計画する。都市型商業施設に向け、アパレルの他、バッグ、シューズ、アイウエア、下着、生活雑貨などを販売する他、ECと店舗連動し、先行受注などをウェブ上で行う。
ECは、売上高30%増で推移していて、改革で成長を見込んでいる。現在、EC化率が高い「ラブレス(LOVELESS)」(21%)、「トゥービーシック(TO BE CHIC)」(20%)の成功事例を他のブランドへと展開していく。ブランドごとの公式サイトの構築や、ウェブ限定商品の強化。将来は実店舗を持たないEC専業ブランドの開発も検討している。
将来的に、新事業としてライフスタイル型ストア事業の開発やM&Aも視野に入れる。16年度で売上高630億円、営業損益30億円の赤字を、19年度までに売上高650億円、営業損益20億円の黒字を目標に掲げている。
岩田功・社長「百貨店でのビジネスは大切だが、今後は従来中心としてきた事業領域の百貨店以外へと販路を広げていく必要がある。百貨店以外という区分が曖昧だが、変にこだわる必要もない。しかし今、駅ビルやファッションビルでの客層や価格帯を分析すると、当社の全てのブランドが適している訳ではない。当社の手持ちのブランドでは、『クレストブリッジ』や『マッキントッシュフィロソフィー』などが比較的年齢層が近く適していると判断している。また、現在開発中の新規事業も該当する」と語った。