ファッション

ルブタンのニッチビジネス拡大術とは?

 クリスチャン・ルブタンは、独特の世界観を持つ無類の努力家だ。靴を中心とするビジネスに、絶え間ない情熱を注いでいる。パリを拠点とする「クリスチャン ルブタン(CHRISTIAN LOUBOUTIN)」は年内、アイコンのレッドソールにちなんだ“ルージュ クリスチャン ルブタン リップ カラー”全38色を発売する。さらに、スパイクスタッズ、アニマルプリント、レッドといった象徴的要素を取り入れた注目のレザーグッズシリーズから、その要となる“パロマバッグ”がこの秋店頭に並ぶ予定だ。

 クリスチャン・ルブタンはミニチュアがとても好きらしい。「小さな絵にはディテールが詰まっていて、見ていて飽きないんだ。父が大工だった影響で、デザイン性のある物が好きだった。小さくても大きな物のように素晴らしい発明や工夫を凝らすことができる」。

 そんな彼のデザイン史上最小となるリップスティックがもうすぐデビューする。装飾品のような“ルージュ クリスチャン ルブタン リップ カラー”の希望小売価格は90ドル(約1万円)。アイテムとしては高額だ(日本では発売予定なし)。「チャームブレスレットのようにゴージャスなリップスティックや、ベルベットのカーテンからのぞくディタ・フォン・ティースの脚のようにブラックレザーのサイドパネルからドラマチックに伸びた肌色の持ち手のハンドバッグがあってもいいよね?」。スパイクを模した蓋が印象的なネイルポリッシュを引っ提げ「クリスチャン ルブタン ボーテ」が始動して1年。現在ビューティ事業は売り上げ全体の3%を占めるという。

 一方、ハンドバッグは“再起動”する。今シーズン、オフィスやアトリエ、ブティックを構えるジャン=ジャック・ルソー通りにある19世紀のたたずまいを残すアーケード、ギャルリー・ヴェロ=ドダに新チームを発足。11月初旬、モデルチェンジしたハンドバッグが店頭にお目見えする。「純粋なパリ発のハンドバッグで、少し型破り」とルブタンは言う。

 ハンドバッグに新解釈を吹き込むきっかけとなったのは昨年、カール・ラガーフェルド、川久保玲、フランク・ゲーリーらも名を連ねた「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」とのコラボだ。ルブタンはモノグラム・キャンバスをベースに、シグネチャーレッド、スパイクスタッズ、そしてつややかな質感を加えたショッピングトロリーとバッグをデザイン。シンボリックな要素を落とし込んだことがヒントになり“パロマバッグ”が生まれたという。「初コレクションに臨む気持ちで取り組んだ」と語る。

 同ブランドにハンドバッグが登場したのは2005年。きっかけは彼の靴を引き立たせるイブニングバッグが欲しいという顧客の声だった。「何かを始めることと、それがどう運営されるかを見極めることが大事。そうすれば、次のステップへと心の準備もできる」とルブタン。これは、顧客のニーズに応えて新しくオープンするブティックにも当てはまる。出店する地域に詳しくなければ、数日散策し、食事をしながら靴のかかとが音を鳴らして行き交う通りを観察するという。「もしそこでレッドソールを見掛けなかったら、出店はしない」と断言する。

 クリスチャン ルブタン社は婦人靴を柱とするプライベートカンパニーだ。現在、婦人靴は売上高全体の70%を占めている。アレクシス・ムーロ=クリスチャン ルブタン グループ最高執行責任者(COO)兼ゼネラルマネジャーによると、売り上げ全体の約7%を占めるハンドバッグと小物レザーグッズ事業は3年以内に15〜20%伸びる勢いで、今後一層注力するという。

[rel][item title="「クリスチャン ルブタン」のコスメ第1弾は、レッド・ソールをイメージしたネイルポリッシュ" href="https://www.wwdjapan.com/beauty/2014/07/24/00013068.html" img="https://www.wwdjapan.com/beauty/files/2014/07/24/140725-Louboutin1.jpg"][/rel] [rel][item title="「クリスチャン ルブタン」のコスメ第2弾は、ペンダント式リップスティック" href="https://www.wwdjapan.com/beauty/2015/08/12/00017575.html" img="https://www.wwdjapan.com/beauty/files/2015/08/12/150812_cr_001.jpg"][/rel]

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