ケリング(KERING)の2017年上半期(1~6月)決算は売上高が前年同期比28.2%増の72億9600万ユーロ(約9411億8000万円)、営業利益は同57.1%増の12億7410万ユーロ(約1643億5900万円)、純利益は同77.6%増の8億2580万ユーロ(約1065億2800万円)で、大幅な増収増益だった。西ヨーロッパとアジア太平洋地域の観光客数が回復したことが好調の主要な要因だ。
最も好調なのがグループ全体の売り上げの3分の1以上を占めている「グッチ(GUCCI)」で、全製品のカテゴリーで2ケタ強の成長を見せた。一方で同社はアイウエアには改善の余地があり、ジュエリーとウオッチ部門については順調になってきたと説明した。また、下半期は、アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)「グッチ」クリエイティブ・ディレクターによる初のフレグランスがヒットするだろうと分析している。
同ブランドの上半期の売上高は、店舗数が減少しているにも関わらず、同45.4%増の28億3250万ユーロ(約3653億9200万円)。オンラインでの売り上げも同60%増となっている。同社は7月に立ち上げた「グッチ」の中国向け自社ECサイトが既に成果を出していることにも言及し、中国周辺の国々や、地方都市での売り上げを伸ばす手立てとなるだろうと説明した。
また、「サンローラン(SAINT LAURENT)」と「バレンシアガ(BALENCIAGA)」も「グッチ」に次いで好調で、中期的に売上高がそれぞれは30億ユーロ(約3870億円)と10億ユーロ(約1290億円)程度になるとみている。
スポーツ&ライフスタイル事業では、同事業の95%を占める「プーマ(PUMA)」が同17.5%増の19億8100万ユーロ(約2555億4900万円)で同事業として初めて売上高が20億ユーロ(約2580億円)を突破した。
フランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)=ケリング会長兼最高経営責任者は「戦略をうまく遂行できたおかげで上半期は素晴らしい結果となった。この結果は、わが社が今後さらに成長できるという自信につながる」とコメントを発表。しかし、同社はユーロ高の影響等で下半期は厳しい結果に直面する可能性があると慎重さもみせた。