繊維大手の小松精練は日本で初めて、炭素繊維を使った耐震補強材「カボコーマ・ストランドロッド」でJIS認定を取得する見込みになったと発表した。1年後をメドに、正式に認定されるという。同社は2015年11月に、建築家の隈研吾と組み、炭素繊維を使ったロープ状の耐震補強材を旧本社棟の改装に使用するなど、実績を作ってきた。炭素繊維の建築資材としてはシート状にしていたものが使われていたが、同社は繊維開発で培ってきた加工技術を用いてロープ状のものを開発していた。
中山賢一・小松精練代表取締役会長は来年度の認定に向けて、「少なくとも40億円を投じ量産設備を整備する必要がある。2025年までに30億円の売上高を目指したい。これまでは『グッチ(GUCCI)』や『ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)』などの欧州のラグジュアリー・ブランドにテキスタイルを供給してきたが、今後はそうした技術を生かして、炭素繊維や屋上緑化などの新規事業を拡大したい」と意気込む。屋上緑化用の建材「グリーンビズ」では、隈研吾の手掛ける建築でも使用されており、「グリーンビズ」と「カボコーマ・ストランドロッド」は、国立新競技場への採用の可否が注目されそうだ。