そごう千葉店は、専門店館「ジュンヌ(JUNNU)」を全面改装し、一部店舗を除いて9月15日にオープンする。営業面積1万6000平方メートルのうち約7割を占めていたファッション領域を約4割に圧縮。コト・体験などのサービス、ビューティ、食、生活雑貨などの分野を拡充する。そごう千葉店がある千葉駅周辺は、近年は郊外の大型ショッピングセンター(SC)に客足を奪われ、昨年秋にはパルコ、今年春には三越が閉店に追い込まれた。空洞化を回避し、若い世代を呼び寄せるために大胆に方向転換する。
現在工事が進んでいる1~3階は、改装後には1階「旬のファッションと食のマルシェ」、2階「キレイを創るビューティフロア」、3階「コト消費型体験フロア」に生まれ変わる。
六角形のフロアの形を生かし、放射状に什器を配置。ブランドの垣根を低くして、各フロアを一つのセレクトショップのように買い回れるようにした。コト消費では加圧スタジオ、商業施設初の卓球スペース、コワーキングスペース、SNS映えするスイーツを作れるクッキングスタジオなどを誘致する。
新しいサービスも導入する。“ショッピング・ウィズ・ドリンク”と銘打ち、、店内で購入した飲み物を片手に買い物が楽しめるようにした。そのための“止まり木”(休憩スポット)を随所に置く。小さな子連れの女性のために一時預かり専門託児所「ママズスマイル」も開設する。
ジュンヌの実質初年度となる18年度で売上高90億円(16年度比25%増)を計画する。
ジュンヌは05年にファッション専門店館として開業。当時、隆盛だったマルキュー系ブランドを多く集め、若い女性を集客した。だが、三井アウトレットパーク幕張やイオンモール幕張新都心など郊外にSCが林立するようになり、低迷が続いていた。一方で、千葉駅の駅ビル「ペリエ(PERIE)」が数多くのファッションブランドを誘致して、9月7日に全面開業する。このタイミングに合わせてジュンヌの全面改装計画を進めた。そごう・西武の久保田俊樹=取締役商品・企画本部長は「JR(東日本系のペリエ)はファッションを強化、ジュンヌはファッション偏重を卒業。互いにすみ分けは可能だ。ファッションは(そごう千葉店の)本館で十分対応できる」と話す。
そごう千葉店(本館・ジュンヌ)は売上高730億円(17年2月期)で、同社では西武池袋本店、そごう横浜店に次ぐ基幹店。そごう・西武のトップに昨年就任した林拓二・社長は、中期的な立て直し策として基幹店への重点投資を掲げている。2日に千葉で行われた会見では「基幹店に経営資源を集中させ、(エリアで)圧倒的シェアを取る。そごう千葉店はその一番バッターだ」と話した。18年以降は本館の化粧品、婦人雑貨・婦人服、飲食などのてこ入れを順次進める。