祇園の町家をリノベーションした「エルメス」のポップアップストア(7月31日で終了)や、6月に行われた「ルイ・ヴィトン」のクルーズコレクション、「スターバックス(STARBUCKS)」世界初の“畳カフェ”(二寧坂ヤサカ茶屋店)、「ヴァンクリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)」のハイジュエリーと日本の工芸展(京都国立近代美術館、8月6日まで)など、京都発の話題が急増中だ。そんな中、祇園に新たな美術館が誕生している。大正2年(1913年)に建てられた重要文化財の甲部歌舞練場の別棟と隣接する八坂倶楽部に6月にプレオープンした「フォーエバー現代美術館祇園・京都」だ。コンセプトは「伝統と現代を融合させた、“生きた伝統の発信”」。総畳敷きの日本建築空間で、畳の香りや柔らかい踏み心地などを五感で感じながら、アバンギャルドな草間作品を間近で見られるという貴重な体験を提供している。
「フォーエバー現代美術館」は、秋田で医療法人・惇慧会を率いる穂積恒・理事長が代表を務めており、草間作品を約430点所蔵・管理している。「都をどり」の会場として知られる祇園甲部歌舞練場が耐震工事のため一時休館中の期間を利用して、草間作品を披露することを決定。アートコンサルティングファームのキュレーションの下、草間作品のコレクションのきっかけとなった「黄樹」を筆頭に、初期の1950年代の作品から最新の「七色の富士」まで80点余りを展示。篝(かがり)色や弁柄(べんがら)色など京都を意識した伝統色を壁面に施し、畳に座っても眺められるように、通常よりも少し低めに陳列しているのが特徴だ。
4つある展示室の中で、「靴をはいて野にゆこう」や「赤いドレス」「ハイヒール」「花/フラワーズ」などファッションアイテムをモチーフにした作品が多く飾られた第3展示室や、チョウやカタツムリなどの昆虫や魚などを多く扱った第4展示室は、ファッション好きやポップなものが好きな若い女性に特に好評だ。舞台上に配されたオブジェ「私の魂を乗せていくボート」は撮影可能で、SNSにも多く投稿されている。四季折々の景色を楽しめる「庭園ギャラリー」や、水玉スイーツを楽しめるカフェ(大阪の「ノースショア」がプロデュース)なども併設。7月上旬には平日は300~400人、土日は600~700人がコンスタントに訪れており、夏休みに入って来場客が増加傾向にあるという。現在の展示は10月29日まで。晩秋には新たな展示室を加えて本格オープンする予定だ。