アリババ・グループ(ALIBABA GROUP)はTモール内に新たに完全招待制のラグジュアリー・プラットフォームを開設した。アパレル商品から、スキンケア商品、時計、高級車まで幅広く取り扱い、ブランドは「バーバリー(BURBERRY)」「ヒューゴ ボス(HUGO BOSS)」「ドゥ・ラ・メール(DE LA MER)」「マセラティ(MASERATI)」「ゲラン(GUERLAIN)」などが名を連ねる。
中国ではラッキーナンバーである8と、社名(88は中国語で“ババ”と発音する)になぞらえ、8月8日に同プラットフォームのローンチイベントを開催する。また、既存のロイヤリティープログラムに代わる会員サービス“88(ババ)メンバー”は、Tモール(Tmall)、タオバオ(Taobao)、旅行サイトのフリギー(Fliggy)など、同社の全プラットフォームの利用者が対象になる。さらに、“スーパー88メンバー”会員になると、ブランドの限定アイテム購入や商品のカスタマイズ、多額購入者に向けたスペシャルセールなどのサービスが用意されている。ローンチからの1週間で既に1500万人がこの“スーパー88メンバー”になる資格を持っているという。
また、ダニエル・チャン(Daniel Zhang)=アリババ・グループ最高経営責任者(CEO)とアーン・ソレンソン(Arne Sorenson)=マリオット・インターナショナル(MARRIOTT INTERNATIONAL)社長兼CEOは7日に、合弁会社を設立したことを発表。これにより、アリババとマリオットどちらかのロイヤリティーメンバーに加入していれば、両社の特典の利用が可能になった。こうした動きは、消費者行動の変化に対応してスタートした、“ニュー・リテール”戦略の一環。同戦略には、無人スーパーマーケットや、“SEE NOW, BUY NOW”のファッションショーなども掲げられている。
ダニエルCEOは、「“ニュー・リテール”戦略のローンチにあたり、数々の議論を重ねてきたが、全て消費者ファーストだ。ブランド、サービス、体験、どれにおいても、消費者が欲しいものを供給するのがわれわれの仕事。若い消費者は商品やサービスを求めるだけでなく、より体験的な面を重視している。彼らは新たな体験をするためなら世界中どこへでも行きたいと思っている」と説明した。
アリババがラグジュアリーブランドとの関係強化に引き続き力を入れているのは、海外よりも自宅でラグジュアリー商品を購入する中国の消費者が増えていることを考えると驚くことではない。グローバルコンサルタントKPMGの予想によれば、20年までに、中国のラグジュアリーブランド購入のうち50%がオンラインからの購入になるという。
「われわれのプラットフォームは世界中からありとあらゆるブランドを取りそろえる。この会員プログラムで、消費者が偽物ではなくこれらの本物のブランドにリーチできるだけでなく、われわれとしても消費者のプロフィール、名前、嗜好といったデータを確保できる」とダニエルCEO。競合のJDドットコムとファーフェッチ(FARFETCH)の提携、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)や「グッチ(GUCCI)」が独自に中国でECをローンチするなど、中国ラグジュアリーEC市場においても競争が加速しているが、アリババはビッグデータを武器に勝負する。