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1969年のメイ・ムスク (c) Fairchild Fashion Media
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お年寄りはSNSを使いこなせないって?そんなことはない。ロサンゼルス在住の69歳のモデル、メイ・マスク(Maye Musk)のインスタグラムのフォロワーは約5万人。モデルで栄養士、インフルエンサーであると同時に、映画監督のトスカ(Tosca)、フード・レストラン業界で活躍する起業家のキンバル(Kimbal)、テスラ・モーターズ(TESLA)とスペース エックス(SPACE X)最高責任者(CEO)のイーロン(Elon)の3人の母でもあり、そして祖母でもある。わずか15歳の時にモデルとしてデビューし、50年以上のキャリアの中で今が1番忙しいと語る彼女に、70歳への意気込みと、どのようにインフルエンサーになったのかを聞いた。
WWD:SNSを始めたきっかけは?
メイ・マスク(以下、メイ):SNS自体は以前からやっていたけれど、インスタグラムを始めたのは親友の娘に「インスタグラムを始めないと!モデルはみんなもうやってるよ」と勧められたからです。最初はなぜ私がインスタグラムをやらなきゃいけないのと思っていました。ヘルシーな食事をポストしても反応なし、私がビーチで歩いてる写真も反応なし。いろいろ試しましたが、モデルの仕事の写真をポストしたら、みんな「いいね!」してくれたの。友達や周りの人々に、インスタグラムの使い方から、モデルとしての撮影についても教えてもらいました。フィード全体を美しく見せるために顔写真を載せて、次に体をアップして、モノクロにしたり。それから、同じ撮影の写真をポストしすぎないように。もし「いいね!」が十分つかなかったら、削除するべきですね。こうしたインスタ術を、私は“ポスト(投稿)”ではなく“ボウスト(自慢)”と呼んでいます。実際自分の仕事を自慢しているわけですから(笑)。でも69歳の私でも、インスタグラムで私を探し当ててくれたり、仕事のオファーが来るとうれしいです。
WWD:インスタグラムのアカウント(@mayemusk)を作ったのはいつ?
メイ:2、3年前ですね。
WWD:キャリアをスタートした時と、SNSは何か共通点はある?
メイ:私が15歳のときにモデルを始めた頃は、モデルエージェンシーがほとんどブッキンングをしてくれて、モデル自身に自分をプロデュースをするような力は全くありませんでした。ニューヨークに住んでいた時はレストランに行ったり、出かけたりするとスカウトされることはありましたが、そういう時は名刺をもらって、エージェントに渡していました。モデルエージェンシーに高齢のモデルがいるなんて思ってもみないですよね。
WWD:他の人があなたのキャリアを真似することはできると思う?
メイ:多くの人が「ゴール」や「インスピレーション」とコメントしてくれるので、私のキャリアを真似したい人はいるとは思います。でも、何度もキャスティングで落とされる辛さは覚悟しておかなければいけません。モデルという仕事はそういうものだと受け入れなければいけません。それから、訪れたチャンスのうち、ほとんどを手にしたとしても、25%ぐらいしか手にできなかったとしても、完全に仕事が決まるまで、浮かれすぎないこと。もし浮かれてたとしても、浮かれすぎないこと(笑)。
私は今でも仕事が決まると浮かれてしまいます。私が20歳の頃は、69歳になるまでモデルを続けるなんて想像もできませんでしたから。もし69歳までモデルの仕事を続けるなんて言ったら、エージェンシーから追い出されていたでしょうね。私のようなキャリアを持った人は、聞いたこともありませんでした。でも28歳になったら、気づいたら結婚していて子どもも3人いる母親、また、その頃活動していた南アフリカのモデルの中では最年長になっていました。生まれはカナダなので、42歳の時にカナダのトロントに戻ったのですが、その時には雑誌の“表紙を務める祖母”でありカナダの最年長モデルになっていました。その後ニューヨークに拠点を移し、同じく祖母である人たちのために立ち上がって活動したかったのですが、「祖母になるにはあなたはグラマラスすぎる」と言われてしまいました(笑)。
イーロン・マスク(左)とメイ・マスク。 メイ・マスクの公式インスタグラム(@mayemusk)から
WWD:お子さんは皆キャリアで成功している。特に長男のイーロンはペイパル(PAYPAL)の前身であるエックス・ドットコム(X.COM)を立ち上げ、その後スペース・エックスを創立、テスラ・モーターズCEOに就任した億万長者だ。あなたの魅力のどれくらいがイーロンに関係していると思うか?
メイ:ちょうど昨日、テレビCMの撮影があって、30人くらいの人がいたけど、たくさんの人に子どもはいるのかと聞かれ、私は3人いると普通に答えました。たぶんイーロンは関係なかったと思います。ファッション業界は私の姓を気にしていないのだと思います。
WWD:あなたが今仕事でとても忙しいことを子ども達はどう思っている?
メイ:子どもたちは私が未だに働き続けていることをよろこんでいます。彼らはモデルと栄養士としての私をずっと知っていたので特に何も変わりはないと思います。彼らは雑誌で私を見るのに慣れています。
私の時間の20%は自分だけの時間で、20%は子どもと孫と過ごします。30%は栄養士として栄養学に関してインタビューなどを受けたりしています。残りはモデルとしての活動ですね。今はモデルが1番多くの時間を占めます。
WWD:SNSでの経験は圧倒的にプラスなものが多いようだが、今までバッシングなど、インターネットのマイナス面に触れたことは?
メイ:私の年齢を尊重してくれていることもあるのか、ひどいバッシングなどを受けたことはほぼないですね。おばあちゃんが働いていることに不満をぶちまける人はなかなかいないでしょう。
WWD:あなたが家族で1番SNSに詳しい?
メイ:インスタグラムに関しては私が1番でしょうね。ツイッターに関しては、孫より詳しいかはわからないけど、子どもたちよりは詳しいと思います。子ども達はツイッターをあまり活用はしてないのでしょうが、とても使い方が上手です。イーロンはちょっと呟くだけで100万人もフォロワーを増やしますから。それにはなかなか勝てないですね。
ときどき子ども達が私のツイートをリツイートするんです。例えばイーロンは、ニューヨークタイムズの私の記事に「母を誇りに思う」「僕の母は最高」などとキャプションをつけて呟いていましたが、彼のフォロワーは私のフォロワーとはタイプが違うんです。私のフォロワーはファッション業界人であったり、健康的な食事を取りたい人が多いです。
孫達は私がSNS中毒だと思っています。でも、インターネットが今後どうなるかなんて、誰にも分からないですよね。いつもインスタグラムが好調ではないかもしれないし、何か新しいサービスが登場するかもしれない。実際、数年前はインスタグラムがここまで成長するなんて思っていませんでしたよね。だから、私達は常に時代についていく努力をし、将来何が起きるのか、常にアンテナを張っていなければなりません。
WWD:栄養士の割に、あまりインスタグラムには食べ物の投稿をしていないが、これはなぜ?
メイ:だってみんな嫌いだから!(笑)。ストーリーには食べ物の写真や動画を投稿しています。ですが、インスタグラムはもっとファション向きなんです。フード関連のことはツイッターで呟いています。
WWD:70歳の誕生日の予定は?
メイ:子ども達によりますね。家族は5年に1度、世界中から集まって盛大にパーティーを開いてお祝いしてくれるのですが、今年は私が世界のどこにいるかわかりません。私の誕生日は4月19日ですが、誕生日以前か以後2カ月の週末でなら家族みんなが集まれる日程があるでしょう。その日にはニューヨークにはいないと。私たちの家族は誕生日の日にお祝いするよりも、家族みんなが集まれることを大切にしているんです。