スキンケアやリップをはじめ、若年層に向けた商品が続々登場する中、香水カテゴリーにおいてもその傾向はますます高まりを見せている。特に、この夏はファッションブランドがミレニアル世代に向けた大型フレグランスを続々と発売。これら世代に影響力のあるアイコニックなモデルを積極的に起用するなど、若年層をターゲットとしたプロモーションを活発化させている。
「ジバンシイ(GIVENCHY)」が8月4日に発売したメンズフレグランス「ジェントルマン オーデトワレ」は、1975年の誕生以来、ブランドの哲学を体現してきたシグネチャーフレグランスを若々しく刷新。特徴的なレザーやパチョリのラストノートを受け継ぎながらも、ラベンダーやアイリスによるエレガントなフローラルノートを絡め、男らしくも繊細さを秘めた現代の男性像を香りで表現した。また、イメージキャラクターには注目の27歳の英国俳優アーロン・テイラー=ジョンソン(Aaron Taylor=Johnson)を起用している。若返りを図った理由について、佐藤香恵PRグループマネジャーは、「ミレニアル世代はファッション感度が高く、トレンドを作っていく世代。また、フレグランスを接点に、ブランドの顧客となりうる彼らを誘致することがブランドの若返りに結びつくと考えている」と述べている。今後、同作をメンズフレグランスの核として打ち出していく方針だ。
また、アルベルト・モリヤス(Alberto Morillas)調香師が手掛ける「ゴルデア」シリーズを打ち出す「ブルガリ(BVLGARI)」は、“ローマの夜”に着想を得た「ゴルデア ローマン ナイト」を9月6日に発売する。4つのムスクを掛け合わせた独自のブラックムスクに、マルベリーやブラックピオニーの甘酸っぱいアクセントと、独自の抽出方法を採用したナイトブルーミングジャスミンが重なる、クリアで軽やかなフローラルムスク調だ。「ミステリアスなだけでなく、大胆でパワフルな若々しい“夜の女王”をイメージした香り。いま若い世代に絶大な支持を誇るモデルのベラ・ハディッド(Bella Hadid)をミューズに、店頭でも、参加型イベントなどの“体験”を重視したミレニアル世代が親しみやすい施策を仕掛けていく」と、佐藤昌枝=ブルーベル・ジャパン 香水・化粧品事業本部 AD/PRマネジャー。
さらに、2018年には、「ジョルジオ アルマーニ ビューティ(GIORGIO ARMANI BEAUTY)」が新ラインとなる「ユー」を「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」から発売予定だ。‟愛”をテーマに、フローラルフルーティの「ビコーズ イッツ ユー」(ウィメンズ)とオリエンタルフゼアの「ストロンガー ウィズ ユー」(メンズ)のカップリングとして、愛し合う二人のライフスタイルに寄り添う香りを提案。現在、本国のイタリア主導で若いカップルの日常を描いたシリーズ型のドラマ仕立てのイメージムービーを、ユーチューブやインスタグラムで発信するなど世界的に大規模なプロモーションも実施している。野山佳世子コミュニケーションマネジャーは、「ブランドイメージをより若く、スタイリッシュにアップデートすることが狙い。すでにローンチしているグローバルでは、ミレニアル世代からの反響も大きい」と語る。
若年層モデルの起用や、SNSならではの“親近感”を与えるプロモーションは、若年層にとって商品を“自分ゴト”として捉えるきっかけとしても効果的なようだ。コスメでは、SNS施策が欠かせないものになってきた今、ファッションフレグランスを中心に香水も若年化が進めば、さらなる市場拡大が期待できる。また、こうした流れはメゾンフレグランスにも波及するのか?今後の動向に注目したい。