コーチ・インク(COACH INC.)の2017年6月通期決算は、売上高が前期比0.07%減の44億8830万ドル(約4892億円)で前年並み、純利益は同28.3%増の5億9100万ドル(約644億円)の増益だった。純利益が2ケタ増となった要因として同社はブランドおよび会社の変革計画が進捗したためだと分析する。
同社は「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」の買収が7月に完了し、日本、中国、ヨーロッパにおけるシェア拡大を狙っている。特に、世界で2番目に大きいハンドバッグとアクセサリーのマーケットである日本を重要視しており、ビクター・ルイス(Victor Luis)最高経営責任者(CEO)は「『ケイト・スペード』は既に日本で強い存在感を示しているが、まだまだ伸びしろがある」と述べた。同CEOは7月に退社したクレイグ・リーヴィット(Craig Leavitt)=ケイト・スぺ―ド前CEOの後任も暫定的に務めている。
「ケイト・スペード ニューヨーク」が買収により大きく変わるのはライセンス面だ。同ブランドは20のライセンス契約を交わしているが、成果が出ていないカテゴリーはライセンス契約期間満了時に終了させ、ファッションやアクセサリーのカテゴリーを中心とした、ブランドにとって実入りの大きいカテゴリーに切り替えていく予定だという。
一方、「コーチ(COACH)」はバッグのエントリー価格を600ドル(約6万5000円)まで引き上げると発表。また、300~400ドル(約3万2000~4万3000円)のアイテムで幅広い客層を取り込む計画を明かした。加えて、フットウエア関連のライセンス契約終了後、初となるウィメンズのフットウエアを発売する。
コーチは近年、中国、東南アジア、ヨーロッパそして中東などの地域への進出に力を入れており、今後はロシアおよびインド開拓の機会をうかがっている。