ゲイル・ブリュワー(Gale Brewer)=マンハッタン区長が招集したガーメントセンター地区ステアリングコミッティーが最終報告書を提出した18日、同コミッティーを支持する製造業者やデザイナー、労働組合など、約50組がガーメントセンター地区保全について嘆願するため、市庁舎前に集まった。
同集会には、アナ・スイ(Anna Sui)、ニコール・ミラー(Nicole Miller)など、多数のデザイナーも参加。ファッション業界は市内だけで900以上の企業が18万人を雇用していると強調し、マンハッタン内に製造業が移転するスペースが確保できるまで、30年続く同地区の保護を解除すべきではないと訴えた。
この動きは、ビル・デブラシオ(Bill de Blasio)=ニューヨーク市長が進めている、ブルックリン地区のブッシュ ターミナルにオープン予定のアパレルおよびテレビ・映画業界のための工場やスタジオを集めた巨大ハブキャンパス「メード・イン・ニューヨーク キャンパス」計画への反対運動の一環だ。
ブリュワー陣営の提出した報告書により、ニューヨーク市は当初の計画を再考する姿勢を見せた。ニューヨーク市のエコノミック・デベロップメント・コーポレーションのスポークスウーマンは、同陣営の報告書を受領したことを認め、報告書を精査の上、どういった施策であればニューヨークのガーメント業界の発展と労働者の雇用環境の改善に繋げることができるかを検討していきたいと述べた。
デザイナーのミラーは、ファッションに関する全ての要素が1カ所に固まっていることの価値について言及し、この環境は容易に再現できるものではないと強く主張した。また、スイはニュージャージー州やコネチカット州から通勤している労働者がいることにも触れ、デルブラシオ市長の進めているブルックリン地区への移設が実現された場合は、遠方に住んでいる労働者や職人にとって通勤がとても困難になることや、職人の持つ技術を軽視していると訴えた。
一方で、バーバラ・ブレア(Barbara Blair)=ガーメントセンター地区長は、「国際競争という点や、50年以上もアパレル業界の雇用が減少し続けていることなどについてステアリングコミッティーは認識していない。そもそも“地区の保護”とはスペースを保存するのであって、雇用の確保を目的としているわけではない」と語った。