森川拓野が手掛ける「ターク(TAAKK)」は8月19日、マレーシアのクアラルンプール・ファッション・ウイーク(以下、KLFW)に招へいされ、メンズで構成した2018年春夏コレクションのランウエイショーを披露した。ショーは、KLFWの会場であるラグジュアリーショッピングモールのパビリオン(PIVILION)の中央にある吹き抜けの広場で行われ、東南アジア中心にメディア関係者やバイヤー、インフルエンサーなどが来場。モールの買い物客も多く集まり、上層階から観賞していた。
ショーのモデルたちは、服の下に白と黒の全身タイツを着用して登場。モデルの個性を消すことで、こだわりのオリジナル素材にフォーカスを当てた。ファーストルックのジャケットとパンツのスーツ地は、一見ストライプ柄に見えるが、ストライプの線をドットの刺しゅうで表現した。また、ダメージデニム風のセットアップは、ダメージ加工ではなく、デニムをジャカードの織りで表現。ボタニカル柄のハワイアンシャツは、カットジャカードによる立体的な風合いが魅力だ。Tシャツやパンツには、前シーズンから引き続き、なでると色が変わるスパンコールを採用した。今回は、トラックパンツにスパンコールでサイドラインを入れ、なでると “ENDRESS”(ENDLESSになぞらえて、ENDとDRESSを掛け合わせた造語)のロゴが出てくる仕掛けになっている。フィナーレでは、モデルがランウエイを歩いた後、バックステージへ戻らずにモールを巡回するサプライズも用意した。
森川デザイナーは、全身タイツを使った理由について「全身タイツを着せてモデルの匿名性を意識した。昨今、ブランド名のロゴが入っているだけで売れる服や、SNS上でたくさんの服の写真が溢れている。そういったファッションを風刺して、手の込んだ素材をじっくり見てもらうことで好きになる服を作った」と語る。
現在の海外の取り扱いはアメリカや台湾などに5~6軒。「パリやニューヨークの合同展に参加し、少しづつ増えてきた。今回、KLFWに参加したことで東南アジア圏への卸先拡大の布石になれば」と話した。
森川デザイナーは文化服装学院卒業後、「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」のメンズ、ウィメンズのデザインチームで経験を積んだ後、30歳で独立し、自身のブランドを設立した。13年には東京新人デザイナー対象を受賞し、アジアファッション連合会・タイバンコク大会の日本代表デザイナーに選出された。17年には東京ファッションアワードを受賞している。
また、同ショーは「アマゾン ファッション ウィーク東京(Amazon Fashion Week TOKYO)」とのコラボレーション。10月に行われる18年春夏シーズンには、マレーシアから1つのデザイナーブランドが日本でショーを披露する予定だ。