繊維商社の豊島が、ファッションテックへの出資を目的にしたファンドを設立した。ファンドの名前と規模は非公表で、国内外のベンチャー企業へ出資する。ファンドは1月に設立、すでに出資なども行っている。ファンドは事業会社がシナジー効果を狙って設立するコーポレート・ベンチャーキャピタルと呼ばれるもので、同社が全額を出資する。豊島はファンドを設立することで、よりスピーディーな出資やソリューション開発を進め、主力のODM(相手先ブランドの企画生産)でも、出資先のファッションテックの技術やサービスと連携させる。
投資先はAI(人工知能)をはじめとした最新のテクノロジーを、ファッション関連の流通やサービスを提供するファッションテック企業で、基本的にはマイノリティ出資になる。
豊島は年商約1800億円の繊維商社大手で、アダストリアなどの有力カジュアルチェーンのODMを手掛け、年間約1億枚のアパレル製品を供給してきた。ブランドや小売業者へのODMは、同社をはじめとした繊維商社の主力事業になっており、競争が激しくなっている。また、生産地も中国やASEANなど多地域間にまたがり、生産管理が複雑になる中で、ITを駆使した新たなサプライチェーンの構築が求められていた。