コティの2017年6月期決算は売上高が前期比75.9%増の76億5030万ドル(約8338億円)、営業損失は前期の2億5420万ドル(約277億円)の黒字から4億3780万ドル(約477億円)の赤字に、コティに帰属する純損失が前期の1億5690万ドル(約171億円)の黒字から4億2220万ドル(約460億円)の赤字に転落した。同社はプロクター・アンド・ギャンブル(PROCTER & GAMBLE、以下P&G)から41のビューティブランドを16年10月に買収した。これに伴う買収および組織改編費用4億6670万ドル(約508億円)と償却費用1億9560万ドル(約213億円)が赤字を招いた。なお、仮にP&Gとの取引が15年7月1日に完了したとして算出した合算値ベースで比較すると、売上高は同1.0%減だった。さらに、16年10月に買収したヘア機器メーカー「GHD」、17年1月に買収したコスメブランド「ユニーク(YOUNIQUE)」、16年2月に買収したブラジルの化粧品企業ハイパーマーカス(HYPERMARCAS)のビューティ事業の業績も加味すると、売上高は現地通貨ベースで同5.0%減だった。
ラグジュアリー事業部は「ヒューゴ ボス(HUGO BOSS)」「フィロソフィー(PHILOSOPHY)」「クロエ(CHLOE)」「グッチ(GUCCI)」が好調だった一方で、「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」のフレグランス事業が売り上げを落とした。コンシューマービューティ事業部はP&Gから買収した「カバーガール(COVERGIRL)」「クレアロール(CLAIROL)」「ウエラ リテール(WELLA RETAIL)」が苦戦した他、北米市場において低迷が続くセルフネイル市場で「サリー ハンセン(SALLY HANSEN)」が売り上げを伸ばすことができなかった。現在同社は「カバーガール」の業績不振を受け、パッケージなどを刷新しリブランディグを図っている最中だ。プロフェッショナル事業部はサロン向けブランドの「ウエラ」や「システム プロフェッショナル(SYSTEM PROFESSIONAL)」が順調に伸びた一方で、ネイルブランド「OPI」が足を引っ張った。しかし、「OPI」は組織改編を行った他、ダメージが少ない「プロヘルス システム」シリーズの発売で第4四半期から徐々に復調している。
カミロ・ペイン(Camillo Pane)最高経営責任者は「17年度はコティにとって大きな移行期だった。とても複雑だったP&Gのビューティビジネスの買収に成功した他、商品と消費者中心の企業に再編成した。さらに、『ユニーク』『GHD』を買収した他、『バーバリー ビューティ』のライセンス取得の契約締結に合意した。買収ブランドの貢献具合に大変満足している」と語った。さらに、「昨年スタートした、グローバルブランドの強化やポテンシャルの高いブランドへの投資、ブランドポートフォリオの範囲をよりグローバルに広げる計画も徐々に結実している」と自信を見せた。