個性的な商品が多いスイスのラグジュアリー・ウオッチブランド「ロマン・ジェローム(ROMAIN JEROME)」が9月、エストネーション(ESTNATION)の大阪店と六本木ヒルズ店でポップアップストアをオープンする。200万円超えの時計がセレクトショップ内でわずか数日間だけ開く期間限定店で売れるのか、注目だ。
同ブランドの定番は、人類の月面着陸を表現すべく素材にアポロ11号の船体を利用した“ムーンインベーダー”シリーズなどだが、ポップアップストアでは、任天堂やタイトーコーポレーション、バンダイナムコとコラボレーションした遊び心溢れる商品にフォーカス。ゲーム文化の礎を築いたTVゲーム「ドンキーコング(DONKEY KONG)」の世界を文字盤に収めた“RJ × ドンキーコング”(世界限定81本、214万円)や、スペースインベーダーやパックマンとコラボレーションした時計などを集める。
「ロマン・ジェローム」のディストリビューターを務めるオールージュの下山征人・代表は、「売れるメドはついている」と自信をのぞかせる。エストネーションは、年間1億円以上を販売するスタッフから一度に数百万円の買い物を楽しむ顧客がいるほど富裕層を囲い込んでおり、特に六本木ヒルズ店はレジデンスの住民や隣接のホテル「グランド ハイアット 東京(GRAND HYATT 東京)」の宿泊客の利用も多い。オールージュとエストネーションはすでにエース販売員を通じて上顧客へのアプローチを開始しており、反応は上々だ。加えて今回はファッション性の高い商品を厳選。期間中はオールージュのスタッフも店頭に立ち、高額時計を売るのにふさわしい接客体制を整える。さらに六本木ヒルズ店でのポップアップ期間中は、メンバーズカードへのポイント還元率が通常よりも高い時期。200万円オーバーの高額品だからこそ、還元率のアップは顧客の背中を強く押すきっかけになりそうだ。
下山代表は、「『ロマン・ジェローム』の時計は、そもそも時計専門店よりセレクトショップの方が向いている」と話す。パリではコレット(COLETTE)でも実績のある「ロマン・ジェローム」のポップアップが日本でも成功すれば、ビンテージをそろえたフェアしか選択肢のなかったセレクトショップでの時計の売り方が変化するかもしれない。