この夏、皆さんはどこに旅をしましたか。私はというと、学生時代から国内外を旅してきましたがここ数年はもっぱら国内志向。47都道府県を旅し、とりわけ沖縄が大好きで今までに20回以上訪れました。鮮やかな海や美しい自然はもちろん、沖縄本島は素敵なパン屋さんやベーカリーカフェが多いのも魅力。中でも、「パン屋 水円(スイエン)」と「プラウマンズ・ランチ・ベーカリー(Ploughman’s Lunch Bakery)」がお気に入り。どちらも店主さんの“好き”が感じられる、充実した不定期イベントや展示があるのも見逃せません。
読谷村(よみたんそん)にある「パン屋 水円」は、豊かな自然に囲まれた一軒家。まるで東南アジアにトリップしたかのような雰囲気が漂います。
「水円」では、パンの師から引き継いだ酵母に沖縄産の無農薬玄米、紅芋、黒糖、小麦粉をかけ継ぎながら、読谷の地で育んだ酵母を使いパンを焼きます。力強い酵母の味わいを感じられるシンプルな「カンパーニュ」などの食事パンはもちろん、伊江島の黒糖を使ったやさしい甘さの「蒸しパン」やドランゴンフルーツのピンク色が鮮やかな「あんぱん」など、島の恵みを生かした沖縄ならではのパンも人気。
パンを買うだけではなく、喫茶としての「水円」もぜひ知ってほしいところ。夏季限定の手作りシロップのかき氷を食べながらぼんやりしてみたり、パンとスープを景色を楽しみながいただくのもオススメです。また、インド古典音楽の会、沖縄のボタン作家の作品や自然な色合いの草木染めの衣類がそろう「キッタ(kitta)」の展示会などの際には、くらしに寄り添い“良いもの”を提供する空間としての「水円」を体感することができます。
北中城(きたなかぐすく)にある「プラウマンズ・ランチ・ベーカリー」は、丘の上にたたずむベーカリーカフェ。蔦で覆われた外国人住宅を改装した店内では、焼き立てのパンとおいしいコーヒーが朝から楽しめます。
「アボカドのオープンサンド」をはじめ、自家製パンを使用したサンドイッチは素材の味を生かしたものばかり。アーサーや藻塩を使ったもちもちのパンなど、10種類以上のパンを買うこともできます。
食べるもの以外にも音楽、植物、アート、家具など、この場所には心地よい空間を構成するあらゆる要素がセンス良く散りばめられています。
お店で開催される不定期イベントでは、眺めの良いテラスがライブステージに早変わり。日本各地からアーティストや職人さんがやってくることも。良い音楽と食を中心に、人が集まる「プラウマンズ・ランチ・ベーカリー」に行くと、「カフェ」という場所が持つあらゆる可能性と空間の持つ力をあらためて感じます。
通常営業でも、イベント時でも、穏やかな時間をそっと演出してくれる沖縄のベーカリーカフェで過ごす至福の時間。何度でも訪れたくなる、とっておきの2軒です。