プラダ グループ(PRADA GROUP)の2015年上半期(2〜7月)決算は増収減益だった。現地通貨ベースでは売上高も前年同期比94%で減収だった。欧州と日本の売り上げとシューズが好調だったものの、低迷するアジア地域とレザーグッズの販売が上半期の業績にダメージを与えた。
同社は業績を成長軌道に乗せるべく、ラグジュアリー路線を強める。「経営の合理化を進めると共に、より高額で、上質な商品で勝負する。価格をより均一化し、商品構成を変えた」とパトリッツィオ・ベルテッリ最高経営責任者(CEO)。「7月から店頭に並んだ新作は、よりラグジュアリーで、ディテールに富んだ完成度の高い特別なデザインになっている。今後クリスマスにかけて動くだろう」と期待を寄せる。「過去18カ月間の売り上げの20%が、1700ユーロ(約22万円)以上のバッグだ。とりわけ2000ユーロ(約26万円)以上のバッグが当たった」と述べ、さらに「消費者が世代交代しても、ラグジュアリー市場はそれほど影響を受けない。ただ限定商品を求める新しい層が現れた」と指摘した。
同社はより高品質な製品を追求し、以前は外部委託していた工程を自社に切り替え、レザーグッズ用の工場を拡張した。「高級品市場は、大きな転換期を迎えている。大規模かつ長期的な戦略で対応するべきだ」と述べた。「アイデアに満ちたダイナミックさと革新に力を注ぐ当社は、優れた商品を絶えず生み出すことが可能だ。経営に関しては効率化を目指し、業務過程の徹底的な見直しを図る。グループ全体の目標は変わらず、株主と顧客、そして社員のために、長期的な今までにない価値を創造する」。
欧州の売上高は消費の回復と訪欧外国人の増加に押し上げられ、同124.4%。日本は同111.7%の1億9420万ユーロ(約260億2200万円)だった。「日本市場は堅調だ。4月初めから回復している」と同社。なお、円ベースでは同104.9%だった。アジア・パシフィックは同99%だが、現地通貨ベースでは同83%。中国の売上高は同95%だが、現地通貨ベースでは同77%だった。米国と中東の売上高はそれぞれ同115%。米国はドル高が幸いしたが、訪米外国人の減少とアメリカ人の国外消費への移行が浮き彫りとなった。
ブランド別では、「プラダ(PRADA)」の売上高は同105.4%の12億6000万ユーロ(約1688億4000万円)。為替の影響と中国市場の弱まりを、欧州と日本の好業績が穴埋めした。「ミュウミュウ(MIU MIU)」は同118.7%の2億5790万ユーロ(約345億5800万円)で、中国では上半期を通じて2ケタ成長。「チャーチ(CHURCH)」は、同118.6%の2580万ユーロ(約34億5700万円)。ウエアをスタートする計画が進行中だ。「カーシュー(CAR SHOE)」は、同101%の440万ユーロ(約5億8900万円)だった。
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