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大手繊維商社の豊島社長が「あえて減益の計画」を立てる理由

 大手繊維商社の豊島は14日、名古屋市内で決算会見を行った。2017年6月期の売上高は前期比3.6%増の1860億円、営業利益は6.7%増の60億円、経常利益は同15.3%増の72億円、純利益は同20.2%増の45億円になり、営業利益と経常利益は過去最高だった。日本最大シェアの綿花部門の売上高が101億円増の405億円と好調だった他、アパレル製品部門が市況悪化に苦しみながらも増益を確保した。

 ただ、18年6月期は減益の見通し。豊島半七・社長は、「日本のアパレル市況は大変に厳しい上、主力の生産地である中国では熱波の影響で工場の稼働が止まったり、染工場が倒産したりと混乱しており、受注にも慎重にならざるをえない状況だ。当社は上場企業ではないため、そんな状況下で無理をして増益の予算を立てるなど必要ない。今は体力をつけるべきときだ」と語った。

 豊島はOEM(相手先ブランド生産)とODM(相手先ブランドの企画生産)で年1億枚を供給する、繊維専門商社の最大手企業の一つ。17年6月期は主力の取引先と取り引き減少になるなど、製品部門は市況悪化に苦しんだが、物流のローコストオペレーションや品質トラブルの減少により、増益を確保した。

 先日発表した全額出資のベンチャー投資ファンドCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)については、「OEM・ODMの取引先支援の一環であり、取引先にもっと多くのメニューを提案するため、出資先をさらに探している他、出資にいたらなかった企業とも協業をする」という。今期からはEC関連の事業も強化し、25%を出資する「スキンアウェア(SKINAWARE)」や自社ブランド「オブレクト」でのECを本格稼働させる。

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