エガ島三郎とは何者か―。お花見や結婚式シーズン、年末年始になると決まって僕のSNSのタイムラインに流れてくる、その笑顔に興味を持ったのはいつだろう。
「カラオケ大会で中村(貞裕トランジットジェネラルオフィス社長)から余興を頼まれ、北島三郎のモノマネを披露したら、それを見て、特別顧問だった藤巻さんが名前をつけてくれました」と話すのは、エガ島三郎こと江頭康朗さんです。今や村上隆の「五百羅漢図展」のアフターパーティーで、レイザーラモンRGと一緒に世界中のVIPの前でMCをこなすなど、その活躍の場は既に一部の内輪だけにとどまりません。最近は、某ミュージシャンのパーティーや結婚式の余興、年末年始イベント、花見、屋形船とオファーもひっきりなしだそうで、東京・三宿の老舗バー、ウェブ(WEB)で、不定期開催の1日店長も務めています。最近は三郎に加え、“エガ島アッコ”(和田アキ子のモノマネ)なるキャラクターも誕生したとか。
そんな江頭さんの本職は、昨年5月にトランジットジェネラルオフィスの傘下として発足した総合キャスティング会社、トランジットクルーアテンダント(以下、クルーアテンダント)の社長です。元々は、トランジットジェネラルオフィスのエンターテインメント事業部として、10年以上前に発足。当初はキャスティング業と並行しながら、インディーズ音楽レーベルとして累計50万枚以上CDを売り上げ、オリコンにもランクインするヒット作を世に送り出してきました。ファッションマーケットのイベントやケータリングを一挙に担うトランジットグループのキャスティング会社だけに、業界で顔の広い彼は、通称“エガ島三郎”の名でも知られています。その名付け親がカリスマバイヤーとして知られる故・藤巻幸大さんだと知れば、興味が湧かない人はいないでしょう。
強烈な江頭社長のキャラクターにばかり目が行きがちですが、普段は至って真面目で、本業のキャスティング業にももちろん本腰を入れています。実は、クルーアテンダントは、内製でDJを育てるなど、同業では他にあまり類を見ない画期的な方法を採っているのが特徴。「限られた予算内でブッキングするため、外部と提携し、DJテクニックを僕自らが教えています。そのメンバーにパーティーのDJを任せることも多いですね」と、メンバーには、月本えりや阿久津ゆりえ、HICOなどのモデル・ミュージシャンが在籍しています。さらにインフルエンサーのリストは1000人以上。ファッション系のパーティーを中心に、パフォーマンスやダンス、トークショーゲストなど、ブランドの色に合わせる多種多様なキャスティング力は、業界でも一二を争うレベルです。
移ろいの激しいファッション同様、キャスティング業のサイクルも早いと江頭社長は言います。「DJはイベントのBGMとしても成り立つし、ライブとしてのパフォーマンス力もある。ただし、それでだけではコンテンツとしてとっくに飽きられていて、クライアントからは常に新しさを求められます。その新しいカタチを見出し、提示していくのがトランジットクルーアテンダントの使命だと思っています」とエガ島スタイルの時とは打って変わって、真面目な表情を見せます。最近は、DJに独自のペアを組んでもらったり、グループの再結成を促したり、パフォーマンスにコンテンポラリーダンスやバレエを組み込むなど、新しいキャスティング方法にも挑戦しているとか。
現在は、東急プラザ銀座の屋上にある「ホワイト&スカイ(WHITE & SKY)」で毎週土曜日にクルーアテンドが手掛けたDJイベントを開催中です。ここは、トランジットジェネラルオフィスのビアガーデンが開かれている場所で、最終営業日は10月1日。運が良ければエガ島三郎にも会えるかも……。夏の終わりに銀座で夜空を眺めながら、エガ島三郎の笑顔に乾杯するのはいかがでしょう。