アフリカ出身のレニー(Lenny)とカディアタ(Kadiata)の男女デュオが2014年にスタートさせたブランド「ニウク(NIUKU)」は、17-18年秋冬シーズンに “リサイクル”がコンセプトの新ライン「バスクチュール ニウク(BASSCOUTUR × NIUKU以下、バスクチュール)」を発表した。今年もインターナショナル・ギャラリー・ビームス(INTERNATIONAL GALLERY BEAMS)のために作った1点モノのウエアが9月29日に発売される。来日したデザイナー2人に、デザインのインスピレーション源や「バスクチュール」の役割、そして「ニウク」のアイコンともいえるオレンジ色の布テープの意味について尋ねた。
WWDジャパン(以下、WWD):ブランド立ち上げの経緯は?
レニー:カディアタは高校を卒業した後、ファッションを勉強するためパリに移住したんだ。その時、僕と一緒にコンセプトショップでアルバイトをしていて、そのショップの制服を2人でデザインしていた。そうしたらいろいろなお客さんから「その制服を買いたい」って言われて、ブランドを始めたんだ。パリの人はセレクトショップよりも大きなブランドに注目するから、ブランドを始めた方がビジネスとして成り立つのでは、と思ったんだよ。
WWD:2人の役割は?
レニー:カディアタはファブリックやデザインに詳しいから、デザイン担当。僕はファッション業界でコンサルタントとして働いていた経歴があるからアートディレクターのような立ち位置かな。
WWD:「ニウク」「ニウク ジーンズ」「バスクチュール ニウク」と3つのラインがあるが、それぞれの役割は?
レニー:メーンの「ニウク」はコレクションラインで、シーズンごとにテーマを決めて発表している。「ニウク ジーンズ」は定番商品。そして「バスクチュール ニウク」は “リサイクル”をコンセプトにビンテージアイテムを使って新しいことに挑戦する、実験的なライン。
カディアタ:「バスクチュール」はフランス語で“低い”を意味する“ベース(BASS)”と、ハイエンドのオートクチュールを表す“クチュール(COUTOUR)”を組み合わせた造語なの。私たちの他にもう1人、リアッド(Riad)というデザイナーを加えて3人でやっている。
WWD:「ニウク ジーンズ」と「バスクチュール」にもシーズンごとのテーマがある?
レニー:ランウエイでは全ブランドのアイテムをミックスして見せているんだけど、「バスクチュール」は他のブランドにはないような新しいアイデアを発想するライン。特にテーマを設定したりはしないけど、毎シーズンがアイデア発表の場だね。「ニウク ジーンズ」は定番ラインだから、素材とかは替わるけどガラッとデザインを変えたりはしない。「バスクチュール」で実験的なことを行い、反響があれば「ニウク」のメーンコレクションに加える。さらにそのアイテムが定着したら「ニウク ジーンズ」で定番アイテムとして販売する。そういった好循環を目指している。
WWD:現在、何カ国に卸している?
レニー:フランスと日本だけ。10月にパリのラぺ通り(RUE DE LA PAIX)沿いの駐車場に直営店を出すんだ。この駐車場は2018年春夏コレクションを発表した場所で、パリでも高級ブティックが集まっている通りの1つ。でも、あえて駐車場というアンダーグラウンドなところに出店するのは、ブランドの世界観を表現するためなんだ。
WWD:モードとストリートの境界がなくなってきているが、「ニウク」はどういった立ち位置でありたい?
レニー:正直次のコレクションはストリートから離れようと思っている。ブランドを時代の流行にとらわれないタイムレスなものにしたいからね。「ニウク」のインスピレーション源はストリートウエアというよりも、ラグジュアリーのブランディング上の要素。例えば「ニウク」を象徴するオレンジの布テープは、僕の好きな「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA以下、マルジェラ)」の白いステッチを意識して始めたものなんだ。