9月20日に開幕した2018年春夏ミラノ・ファッション・ウイーク初日のハイライトは、やはり「グッチ(GUCCI)」だった。メンズ、ウィメンズあわせて100を超えるルック数は圧巻。日本からは二階堂ふみや坂口健太郎が来場。二階堂は黒の着物に「グッチ」のバッグやアクセサリーという粋なスタイルで「グッチ」らしい折衷主義を楽しんだ。
ショー会場はスモーキーでうす暗い。至るところにローマやギリシャの神殿のような建物、エジプトにありそうな神の化身のようなオブジェ、裸体の彫刻など、異なる時代と文化を想起させる巨大造形物が置かれている。中には神殿の柱が床に倒れているエリアもある。アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)=クリエイティブ・ディレクターの頭の中には今シーズン、“破壊と創造”というキーワードがあるようだ。「一度、破壊しないと創造できない」。そんなムードを演出でも伝えている。
肩が大きくカーブしたメタリックなトップス、装飾を施したスポーティーなトラックパンツとジャージーなど80年代のスタイルがベースだ。しかし「ひとつのストーリーに留まるのではなく、そこにさまざまなアイデアや美学を加えていく」というミケーレの言葉通り、アイススケートのコスチュームのようなチュールのドレスや繊細なレースのドレスにはプリンス・オブ・ウェールズのメンズライクなジャケットを合わせ、頭にはストローハット。スタッズの付いたサングラスや太いチョーカーのスタイルも登場し、ミケーレらしい独創的な世界観を表現している。固定観念を一度壊し、新たに構築する“破壊と創造”のクリエイションを続けているのだろう。
メンズは、スーツのパンツをはき忘れてしまったかのような、ジャケットにトランクスといったスタイルなど。リンゴを持った白雪姫のニット、ラビットをあしらったベスト、女性のように小さなポシェットも登場し、自由な遊び心が滲む。
ヒットを続けるアクセサリーは、今シーズンも多彩だ。「GUCCY」と書かれたミニショルダーバッグや、巨大なトート、ヴィンテージロゴをあしらったラバーのバッグなど、バリエーションに富んでいる。シューズは引き続き、スリッポンやローヒール。一方で80年代のスタイルにマッチするシャイニーなピンヒールは新しい。
ショー会場は、「グッチ」の着用者であふれている。それぞれがスタイルを楽しんでいる様子を見ると、ミケーレはまだまだ彼らの心を掴んでいるようだ。