ティファニー(TIFFANY & CO.)は10月2日付で会長にロジャー・ファラー(Roger Farah)を起用する人事を発表した。ファラー新会長はトリー バーチ(TORY BURCH)の共同最高経営責任者(CEO)を務めたほか、ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)では長きに渡り社長を務めた。国際戦略に長け、アメリカンブランドをグローバル化させてきた大ベテランだ。ティファニーは彼の起用により、現在進行中の改革を加速させる考え。ファラー新会長は春から、ティファニーの取締役会に名前を連ねている。
これで春から続くティファニーの大人事改革は、ひとまず完了した格好だ。1月のフランチェスカ・アムフィテアトロフ(Francesca Amfitheatrof)前デザイン・ディレクター、2月のフレデリック・キュナメル(Frederic Cumenal)前CEOの業績低迷による退任に端を発した体制の刷新は、クリエイティブの面ではリード・クラッコフ(Reed Krakoff)がチーフ・アーティスティック・ディレクターに昇格。ビジネスの面ではファラー新会長の起用に先立ち、アレッサンドロ・ボリオーロ(Alessandro Bogliolo)前ディーゼル(DIESEL)CEOを新CEOに任命している。クラッコフ=チーフ・アーティスティク・ディレクターはかつて「コーチ(COACH)」の急成長を支えた立役者で、ボリオーロ新CEOはディーゼル以前、ブルガリ(BVLGARI)の最高執行責任者(COO)を務めるなどジュエリーやウオッチ、アクセサリーの経験が豊富な人物だ。
トップ人事についてマイケル・コワルスキー(Michael Kowalski)現会長は、「新たな会長とCEOは、既存店売上高の上昇に貢献し、長期的な成長に繋がる戦略を完遂してくれるだろう」と期待を寄せる。同社は直近、既存店売上高が度々前年を割っていた。現在65歳のコワルスキー現会長は、第一線を退く考えを示していたが、体制刷新に際しては暫定CEOも兼務した。今後も取締役会のメンバーは務める見通しだ。
このほかティファニーは、“モノ言う投資家”のジェナ パートナーズ(Jana Partners)とブルガリの前CEOフランチェスコ・トラパーニ(Francesco Trapani)氏が株式の5.1%を保有していることから、トラパーニ氏も取締役会のメンバーを務めている。