「カルティエ(CARTIER)」「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)」「IWC」などを傘下に持つコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)は9月21日、デジタル部門強化のためにチーフ・テクノロジー・オフィサーの役職を新設し、ジャン-ジャック・ファン・オーステン(Jean-Jacques van Oosten)を指名した。就任は2018年1月。
ファン・オーステン=チーフ・テクノロジー・オフィサーは、ロンドン・ビジネス・スクール(LONDON BUSINESS SCHOOL)を卒業し、分子遺伝子学の博士号を取得。建材業者トラビス パーキンス グループ(TRAVIS PERKINS GROUP)やDIY用品の小売企業キングフィッシャー(KINGFISHER)、ユニリーバ(UNILEVER)などでチーフ・インフォメーション・オフィサーのポジションを経験し、独大手小売りレーヴェグループ(REWE GROUP)傘下のレーヴェ デジタル(REWE DIGITAL)のグループ・デジタル・オフィサー兼最高経営責任者を務めるなど、小売りやデジタル領域で21年の経験を有する。
ヨハン・ルパート(Johann Rupert)会長は同人事について、「今日の環境に適応するためのリシュモンの努力だ」と述べた。
また、同社は新たにLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)のソフィー・ギエイス(Sophie Guieysse)をヒューマン・リソース・ディレクターに指名した。ギエイス=ヒューマン・リソース・ディレクターはリシュモンに20年在籍したトーマス・リンドマン(Thomas Lindemann)の後任として10月から参画する。同社以前は、フランスの民営の有料のテレビ局カナル・プリュス(CANAL PLUS)で10年間ヒューマン・リソース・ディレクターを務め、16年からディオール(DIOR)でラグジュアリー企業の将来的なデジタル戦略についてアドバイスを行ってきた。その後、LVMHではヒューマン・リソース部門に所属し、最終的にはグループのヒューマン・リソース・ディレクターを務めた人物だ。
ラグジュアリー企業は概してデジタルやマルチチャネルによる販売戦略に弱く、リシュモンも例にもれず課題となっていたが、今年初めから30代を取締役会に加え、経営陣の若返りを図ることで課題を克服することを目指している。今回の両人事についても同様の狙いがあると見られている。