パリコレも中盤、トレンドセッターである3人の女性デザイナーから届いたインビテーションがとても素敵でした。3人とは、「セリーヌ(CELINE)」のフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)とステラ・マッカートニー(Stella McCartney)、そして「クロエ(CHLOE)」から「ジバンシィ(GIVENCHY)」に“移籍”してデビューショーを披露したクレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)です。いずれも英国出身で、ほぼ同世代。そしてトレンドセッターという共通点がありますが、彼らから送られてきた今シーズンの招待状にも共通点がありました。
それは、非常に実用的、という点です。
まず日曜日の朝一にショーを行った「ジバンシィ」のインビテーションはこちら。透明PVCのケースです。
ケース自体にショーの日時や会場の住所、席番号も書かれているからこれだけ持っていればOK。この日の天気は小雨で、実際にPCを入れて持ち歩きました。ホント便利!スナップにはブランドのロゴも入っています。
クレアは服やバッグでも“実際に身につけること”にこだわっていて、ショーに出ていた服はそのまま街を歩いてもOKなリアルなものばかり。「ジバンシィ」のような大きなメゾンでのデビューショーなら、きっと見る人に驚きを与える“仕掛け”を込めたくなるのがデザイナーの心理でしょうが、クレアは派手さよりリアルにこだわった。そこが彼女の強さだと思います。
ショーには出ていませんが、実用サイズのハンドバッグは軽くて、マチが複数あって、留め具が開け閉めしやすくて便利。女性がなるべくハンズフリーで過ごせるように、とこだわったそうです。こういった考え方はインビテーションに直結しています。
そして同じ日曜日の午後にショーを行った「セリーヌ」のインビテーションはなんと、ジップロックです!こちらも袋自体にショーに関する情報が書かれていて便利。午後はこちらにPCを入れて持ち歩きました。
実は私、大のジップロック党で、出張のスーツケース内の小分けには大小さまざまなジップロックを使用しています。食品だけでなく、化粧品も、ビタミン剤も、名刺の控えも全部ジップロック。中が見えて、口が閉まり、軽量で、かさばらないから便利です。そんなジップロック党にたまらないのがこの「セリーヌ」の新作バッグです。ルックだとバッグを2個持ちしているので見えにくいのですが、内側にビニールのバッグを持っているのが見えますか?こちらはジップロックと同じデザインで、レトロな「CELINE」のロゴが入っています。店頭で単品販売せず、お財布などスモール・レザー・グッズを購入した際についてくるそうです。
続いて、翌月曜日の朝一のショーは「ステラ マッカトニー」で、招待状はこちら。想像の斜め上をゆくモノです。ご覧ください。
ゴミ袋です。ブランドのロゴをプリントした一見するとごくフツウのゴミ袋のロールがずっしりと届きました。ショー会場に持ってゆくのは紙の部分だけでOK。フツウじゃないのは、これがエコ素材であるということです。イスラエルを拠点とするTIPA社が開発したバイオ素材を原料とする100%生分解可能な素材で、堆肥にも使用できるとか。サステイナブルの取り組みを徹底・継続しているステラらしい選択です。それにしてもこのゴミ袋、ゴミを入れて捨てるのはもったいない。使ってこそステラの本望でしょうが……。
ショーにもサステイナブルなレーヨンやエコレザーを使った服が登場しました。実用かつサステイナブルかつおしゃれ。これぞ最先端。痺れます。
フィービー、クレア、ステラ。このイギリス出身の3人の女性デザイナーが示す価値はやはりユニークで新しい。招待状を見てつくづく思ったのでした。