松坂屋上野店南館は11月4日、「上野フロンティアタワー」として生まれ変わる。地下1階は従来通り松坂屋となるが、1~6階はパルコヤ(PARCOYA)、7~10階はTOHOシネマズ、11~22階はオフィスとなり、新たな上野のランドマークとして注目を集めそうだ。今プロジェクトについて、大丸松坂屋百貨店の好本達也・社長に話を聞いた。
WWDジャパン(以下、WWD):再開発で30~50代をターゲットにしたパルコの新業態パルコヤが開業するが、期待するところは。
好本達也・社長(以下、好本):松坂屋のメリット、相乗効果は計り知れない。上野店は昔からシニアのお客さまが多く、また一人のお客さまが高い頻度で来店してくださっているのが現状だ。顧客を見ても65歳以上が42%を占める。しかし上野・御徒町エリア全体を見渡すと、上野動物園や美術館、アメヤ横丁などには若い人、さらには外国人も多く訪れている。パルコヤがオープンすることで、これまで上野・御徒町には来ていたけれど松坂屋には足を運んでいなかった30、40代や、外国人を取り込めるだろう。
WWD:本館の改装も行うが、新しい来店客に向けどういった提案をするのか?
好本:これまで百貨店が行ってきた従来型の改装ではダメだと思っており、これまでの百貨店にはない売り場を作る。具体的には百貨店内で好調な化粧品をさらに強化するが、1階の化粧品売り場とは差別化し、“美と健康”にフォーカスした売り場「上野HA・NA・RE」を2階に開設する。体験型・コト消費に対応した、施術などサービスを重視した売り場になる。
WWD:3年前に開設したコミュニティーサイト「上野が、すき。」と連動していることも、従来型の百貨店にはない取り組みだが、これとの連動は?
好本:「上野が、すき。」には現在、3万人のメンバーがいるが、このサイトを活用して地域の情報や魅力を発信するだけでなく、サイトに集まったメンバーの声を、リアル店舗の品ぞろえやイベントに反映させる仕組みを構築したいと思っている。例えば、本館2階にはカフェコムサが運営する「上野が、すき。カフェ」を開設し、サイトメンバーと一緒に上野エリアの美と健康に関心のある大人のための新オアシスを作る。またパルコヤの地下1階には「上野が、すき。ステーション」を作る。上野案内所を作りエリアの情報や魅力を発信する。本館7階には「上野が、すき。ギャラリー」を作り、サイトからの声を拾い芸大生や地域でモノ作りを行っている人などの作品を展示し発信するなどして、コミュニティーを作っていきたい。
WWD:その他の計画および、オープン後の売り上げ目標は?
好本:パルコヤの地下1階には婦人靴売り場を移設し、上野の街歩きを楽しむためのアイテムをそろえる。また、オフィスワーカーの増加を見込んで総菜・弁当をさらに充実させる。今回のプロジェクトはこれまで課題としてきた“若返り”のための千載一遇のチャンスだと捉えており、松坂屋上野店で18年2月期の売上高は前年比4.6%増の427億円を見込む。