ワン・クリック・リテール(ONE CLICK RETAIL)の調査によると、アマゾン(AMAZON)が展開するプライベートブランド(以下、PB)のうち、最大の稼ぎ頭は、USBケーブルなどのパソコン周辺機器からヨガマットまであらゆる商品を販売する「アマゾンベーシック(AMAZONBASICS)」で、この1年間の売上高は2億5000万ドル(約280億円)だという。これは同社のPB全体の売上高の85%を占める。
一方で、注目すべきPBは、2016年2月に登場したアマゾンプライム会員限定のウィメンズ・アパレル「ラーク&ロー(LARK & RO)」で、目下、前期比90%増で成長中だ。日本には未上陸だが、同ブランドの売上高は1000万ドル(約11億円)に到達する勢いだ。
近年、同社はファッション事業に力を注いでおり、昨年はPB全体で2400万ドル(約26億円)を売り上げた。これは前年度の6倍の数字だ。その中でも「アマゾン・エッセンシャルズ(AMAZON ESSENTIALS)」が300万ドル(約3億3600万円)と好調に売り上げているが、「ラーク&ロー」はアマゾンプライムデーだけで100万ドル(約1億1200万円)を売り上げるなど、「アマゾン・エッセンシャルズ」を上回る勢いを見せている。
アマゾンのスポークスウーマンは「ラーク&ロー」の成績についてコメントを出さなかったが、米「WWD」が入手した売上高などの数字を否定することもしなかった。
同社の事業の中で重要なカテゴリーの1つとなっているファッション事業だが、プライム会員限定のアパレルPB「パリ・サンデー」が休止目前とウワサされたり、生放送のオンラインショッピング番組「スタイル コード ライブ(Style Code Live)」が1年で打ち切りとなるなど、必ずしも全てが好調というわけではない。しかし、5月にはアマゾン ファッション(AMAZON FASHION)のプレジデントに、ファッション業界での経験が豊富なクリスティン・ボーシャン(Christine Beauchamp)を迎えるなど、テコ入れに尽力している。
加えて、アマゾン ファッションは18年春に東京・品川シーサイドに世界4番目となる巨大なファッション撮影スタジオを開設することを決めるなど、ファッション領域の強化に積極的だ。