伊「ヴォーグ(VOGUE)」10月号(10月5日発売)は“タイムレス イシュー”として、全編にわたり60歳以上の女性にフォーカスする。3パターンある表紙を飾ったのは73歳の米女優ローレン・ハットン(Lauren Hutton)。これまで「ヴォーグ」の表紙を飾った最年長は、2013年当時73歳4カ月だったティナ・ターナー(Tina Turner)だったが、ローレンは7カ月年上でその記録を塗り替えた。
エマニュエル・ファルネティ(Emanuele Farneti)伊「ヴォーグ」編集長は「年を重ねてもファッションは楽しめるのか?答えはイエスだ。すでに多くのランウエイショーや広告キャンペーンで証明されているが、若い世代が年を重ねることを楽しめるかとか、どの世代が購買力があるかというよりもわれわれは広義的に年齢もダイバーシティーの一つだと考えている。ジェンダー、民族、宗教と同じように、年齢もダイバーシティーに含まれている」と語る。
ローレンはこれまで米「ヴォーグ」の表紙を27回、米以外の「ヴォーグ」の表紙も13回務め上げたが、「今回が一番自分が『役に立てた』と感じた表紙。この年齢でも知的で魅力的、かつ笑顔を兼ね備えていることが証明できた。社会を変える可能性を秘めている表紙だと思うわ」と話した。
表紙を撮り下ろしたフォトグラファー、スティーブン・クライン(Steven Klein)は「雑誌の表紙は、写真が全てじゃない。時代を映す鏡として、チャレンジングでインスパイアにあふれたものであることが一番重要だ。“タイムレス イシュー”の表紙を撮りたかった一番の理由は、70歳以上の女性がどのように見えるかを新たに示したかったから。だからローレン・ハットンを表紙に撮り下ろすことができてとてもうれしかった。彼女は73歳だが今でもセクシー。しかも彼女は何も化粧はせず、年齢を受け入れている。この表紙には『年齢至上主義社会でも、あなたもセクシーな70歳になれる』というメッセージを込めた」と語る。
“タイムレス イシュー”では62歳のモデルで、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)のパートナー、イマン(Iman)や1965年に初めて伊「ヴォーグ」の表紙モデルに選ばれ、現在74歳のベネデッタ・バルジニ(Benedetta Barzini)、天才起業家イーロン・マスク(Iron Musk)の母で69歳のモデル、メイ・マスク(Maye Musk)、史上初のトランスジェンダーモデルで現在66歳のトレーシー・ノーマン(Tracey Norman)などが登場する。
なおローレンは、トーマス・マイヤー(Tomas Maier)=クリエイティブ・ディレクターの就任15周年とブランド設立50周年を記念した「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」の2017年春夏シーズンのショーにモデルとしてランウエイを歩き、来場者だけでなく、業界を驚かせた。