「フェンティ ビューティ バイ リアーナ」商品 PHOTO BY BRYAN BEDDER / GETTY IMAGES FOR FENTY PUMA BY RIHANNA
「フェンティ ビューティ バイ リアーナ」商品 PHOTO BY BRYAN BEDDER / GETTY IMAGES FOR FENTY PUMA BY RIHANNA
「フェンティ ビューティ バイ リアーナ」商品 PHOTO BY BRYAN BEDDER / GETTY IMAGES FOR FENTY PUMA BY RIHANNA
「フェンティ プーマ バイ リアーナ」のバックステージメイクアップ PHOTO BY BRYAN BEDDER / GETTY IMAGES FOR FENTY PUMA BY RIHANNA
「フェンティ プーマ バイ リアーナ」のバックステージメイクアップ PHOTO BY BRYAN BEDDER / GETTY IMAGES FOR FENTY PUMA BY RIHANNA
「ロレアル パリ」の「リクイド パウダー ベア スキン パーフェクティング メイクアップ」は8色展開(ロレアル公式サイトから)
「レブロン」の「フォトレディ エアブラッシュ エフェクト メイクアップ」は12色展開(レブロン公式サイトから)
歌手のリアーナ(Rihanna)は2018年春夏ニューヨーク・ファッション・ウイーク期間中に、自身のコスメライン「フェンティ ビューティ バイ リアーナ(FENTY BEAUTY BY RIHANNA以下、フェンティ ビューティ)」を発売した。9月10日に行われた「フェンティ プーマ バイ リアーナ(FENTY PUMA BY RIHANNA) 」のショーは、サーフィンとモトクロスがテーマで、新商品を使用した日焼けしたかのような健康的なメイクアップを披露した。マットな肌に、頬骨から額にかけてシェーディングし、目元や頬骨の高い位置にはハイライトを入れて陰影のあるメイクが完成した。目頭やまぶたにはゴールドのシマーシャドウを入れて輝きをプラスしている。
「フェンティ ビューティ」はSNSや各種メディアで大きな話題を呼んだが、発売して約1カ月が経った今でもなおSNSなどでレビュー動画が投稿されている。そして同ブランドの一番のポイントは、あらゆる人種や肌色に対応していること。さまざまな人種が存在する米国では、それだけ多くの肌色に対応した色展開が必要だが、たいていのブランドは白人向けの色は多くそろえても、黒人やディープな肌色の色展開は極めて少ない。米国の人口の約35%が有色人種(米国国勢調査局調べ)であるにもかかわらず、「ロレアル パリ(L’OREAL PARIS)」「レブロン(REVLON)」などの大手ブランドは20色前後、少ないときは10色以下のカラー展開だ。もちろん、「メイベリン(MAYBELLINE)」のように40色展開しているブランドもあるが、カラーを増やしたのは最近のことだ。「M・A・C」「メイク アップ フォー エバー(MAKEUPFOREVER)」などのアーティスト系ブランドも40色前後を出しているが、全体で見るとそういったブランドは少数派。そのため、ファンデーションを何本か購入して混ぜ、肌色に合うカラーを自分で作ったり、アマゾン(AMAZON)で購入せざるをえない人も少なくない。ダイバーシティーが重要視されている米国でも、ビューティ業界は遅れをとっているとして問題になっている。
READ MORE 1 / 1 「フェンティ ビューティ」は先天性白皮症の人も使える色を展開
「フェンティ ビューティ バイ リアーナ」のファンデーションは暗いトーンが多く完売している (セフォラ公式ページから)
そこで「フェンティ ビューティ」はファンデーションを40色、チークカラーを30色一気に発売し、アルビノ(先天性白皮症)の人も使える色を展開する。一方で、リップは「どんな肌色にもきれいに映える」ベージュピンク色のリップグロスのみを発売。実際にセフォラ(SEPHORA)などでは暗いトーンのファンデーションばかりが完売していることからも、米国市場の現状がうかがえる。
また、黒人のヘア事情も、たびたび話題に上がる。ほとんどの人は、生まれつき毛が縮れているが、白人のようなストレートヘアに憧れて幼い頃から刺激の強い薬剤で縮毛矯正をかけたり、毎日ストレートアイロンで伸ばしたり、ウィッグをかぶる女性が多い。黒人の芸能人も、縮れたナチュラルヘアではなく、矯正やエクステンションを施したヘアスタイルが多い。そしてドラッグストアや化粧品店で並んでいるのは、白人の毛をイメージして開発されたヘアケア商品ばかりで、黒人の髪に特化した商品は少ない。
このようにいまだ「白人主義」が残る米国のビューティ業界に、新たな風を吹き込むブランドとして「フェンティ ビューティ」に期待が掛かっている。すでに人気のリアーナだが、今後も多くの女性のロールモデルになるだろう。そして本当にダイバーシティーをうたうならば、「誰でも使える」ヘアケアやスキンケアにも挑戦してもらいたい。