松屋の2017年3~8月期連結業績は、売上高が前年同期比2.2%増の426億円、営業利益が同2.2倍の5億6200万円だった。主力の銀座店ではインバウンド(訪日外国人客)の購買が尻上がりに伸び、免税売上高は7月が前年同月比25%増、8月が同39%増に跳ね上がった。特選ゾーンのインターナショナルブティックや化粧品売り場の改装も集客につながった。増収とともに、販管費の削減が利益改善に貢献した。
前年同期が減収だった衣料品の売上高は同1.2%増と持ち直した。だが銀座本店副店長を兼任する井上智雄MD戦略室長は慎重に見る。「デザイナーズブランドなどしっかりしたアイデンティティを持つゾーンは堅調だが、(ボリュームである)いわゆるキャリアゾーンは依然厳しい。手を変え品を変え、さまざまな催事などを行い、何とか実績を維持しているのが実情だ」。株高を背景にした富裕層の消費は好調で、9月に実施した外商顧客イベント「松美会」は過去最高の売上高を達成した。富裕層も含めたカード会員による売上高は同11%を記録しており、同社は引き続きロイヤリティの高い顧客の囲い込み策に重点を置く。
4月に開業した大型商業施設ギンザ シックス(GINZA SIX)の影響について、帯刀保憲・専務は「銀座への来街者自体が増えた。当社も文化催事の強化などの対抗策を打ったため、集客面ではプラス」と振り返る。一方で井上副店長は「相対的にはプラスだが、ラグジュアリーブランドの旗艦店など当店とバッティングするところも少なくない。地方からいらっしゃるフリーのお客さまはギンザ シックスに流れているも事実」とも語っている。
通期(18年2月期)は売上高890億円(前期比3.1%増)、営業利益19億円(同53.1%増)、純利益11億円(同42.1%増)を予想する。