投資会社のカーライル・グループ(CARLYLE GROUP以下、カーライル)に株式の半数を売却したシュプリーム(SUPREME)のジェームス・ジェビア(James Jebbia)創業者は、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」とのコラボコレクションが発売されるまで、株の売買に関する契約書にサインするのを控えていたようだ。
デザイナーズビジネスのコンサルなどを手掛けるハンド・バルダキン・アンバーギー(HAND BALDACHIN AMBURGEY)のダグラス・ハンド創業メンバーは、「コラボの成功は人々に『シュプリーム』はラグジュアリー・ブランドの一つだ、という印象を植え付けた」と話す。関係者は、投資会社などは昨年からシュプリームの株式取得を画策していたが、それはコラボの発売まで実現しなかったと振り返る。別の関係者によると、同コラボの売り上げは、世界で1億ユーロ(約132億円)規模だったようだ。
またカーライルは、2014年にシュプリームの株式を取得しているグード・パートナーズ(GOODE PARTNERS以下、グード)からも株式を受け取るようだ。グードのキース・ミラー(Keith Miller)=パートナーは、シュプリームの取締役会にも名を連ね、ブランドの近年の発展に欠かせない存在だったという。
シュプリームの今後について、カーライルはその価値を深く理解しており、投資会社の干渉はクリエイションを傷つけかねないと考えているようだ。上述のハンド創業メンバーは、「カーライルは、“金の卵”をムダにするような企業ではない」という。“金の卵(英語圏では黄金のガチョウ、golden gooseが産み落とすと言われている)”と言えば、同社は今年2月に「ゴールデン グース デラックス ブランド(GOLDEN GOOSE DELUXE BRAND)」の株式も100%取得している。シュプリームについては、現在の価値を維持しながらビジネスを拡大し、最終的には他社に株式を売却したり、株式公開を狙ったりするのではと考えられている。