オーダースーツなどを手掛ける「麻布テーラー(AZABU TAILOR)」は、10月25日までオーダーコートフェアを開催している。同フェアは、スーツのパーソナルオーダーに比べて、一般的には認知が低いオーダーコートの訴求を目指し5年ほど前から展開する。今では、全店で1日に平均30~50着、期間中に数百着のオーダーが入るほど人気を集めている。
価格は5万4000円から、カシミヤやインポート生地を使った数十万円まで。全て国内の自社工場で縫製し、納期は約6週間。チェスターフィールドコートやステンカラーコート、アルスターコート、トレンチコートに加え、フェア限定でPコートのオーダーもできる。特にビジネスシーンの定番であるチェスターフィールドコートは、伸縮性に富む“ジャージー”、軽量ではっ水性を持つナイロンタフタ素材の“ダウン”、ツイードなどの“ウール”の3種類を用意する。
初回は、オーダーシステムの説明、デザインや付属品を選ぶ、採寸を行うという工程で、約1時間で終了。コートだけで300種類以上ある生地の中から、店頭スタッフが丁寧にヒアリングし、シーンや用途に合わせて最適なモノを提案する。生地を決めた後は、裏地やボタン、ポケットの形状、比翼など、細かい部分を選べるが、スタッフが希望に合う付属を3~4択に絞って提案することでスマートなオーダーが可能だ。さらに2回目以降は、サイズに変更がなければ30分程度で終わる場合もあるという。
大手紳士服チェーンがデジタルを導入し、オーダー市場へ参入する中、「麻布テーラー」は、一貫して対面販売にこだわり成長してきた。「安い、早い」の大手チェーンに対して、セールを一切行わず、納期の早さよりもクオリティーを優先する。篠塚剛プレス担当は、「成長分野のオーダー市場だが、5年ほど前から特に伸びている。弊社の強みはやはり人材。新人研修制度をしっかりと実施しており、マスターテーラーと呼ばれるスタッフが接客することでお客さまからも信頼いただいている。実際にほとんどのお客さまがリピーターになってくれる」と手応えを見せる。「お客さまと一緒に一つのものを作り上げ、価値あるクオリティーを提供したい」。