株式市場と同様の仕組みを採用したオンライン商品取引市場ストックX(StockX)に「シュプリーム(SUPREME)」が“上場”し、現在同ブランドの3000アイテム以上がストックXで取り引き対象になっている。
ストックXは、株式取引所と同じようにリアルタイムの価格、出来高、過去の販売データなど、透明性のあるデータを買い手と売り手に提供して両者を結びつける。買い手は、リストされている最低価格で“入札”して商品を購入することができる一方、売り手は最高値の入札価格で売ることができ、また、希望販売価格を表示してその価格で購入するかどうかを買い手に“尋ねる”ことができる。また、すべての取り引きは鑑定調査のためにデトロイトに商品を出荷した後に完了するという。
この“モノの株式市場”ストックXは2016年2月にジョッシュ・ルーバー(Josh Luber)、グレッグ・シュワルツ(Greg Schwartz)、ダン・ギルバート(Dan Gilbert)が共同で設立した。ルーバーが12年に設立した、Eベイ(eBay)で販売されているスニーカーの再販価格や市場動向などの情報を提供するスニーカーデータサイトのキャンプレス(CAMPLESS)をベースに、シュワルツがサイトを開発した。
また、ロック ベンチャーズ(ROCK VENTURES)、クイッケン ローンズ(QUICKEN LOANS)の創業者兼会長で、米バスケットボールチームの「クリーブランド・キャバリアーズ(CLEVELAND CAVALIERS)」の株の過半数を所有しているギルバートが投資ファンドのデトロイト ベンチャー パートナーズ(DETROIT VENTURE PARTNERS)を通じて資金を調達した。その他、ヒップホップMCのエミネム(Eminem)、俳優のマーク・ウォールバーグ(Mark Wahlberg)、実業家のテッド・レオンシス(Ted Leonsis)、エンジェル投資家のロン・コンウェイ(Ron Conway)らが資金を提供している。
ストックXのスニーカーカテゴリーでは現在新品またはデッドストックの「アディダス(ADIDAS)」「ナイキ(NIKE)」「イージー(YEEZY)」などが取り引きされており、今後、「ア ベイシング エイプ(R)(A BATHING APE(R))」「キス(KITH)」「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」などが“上場”を予定している。
ルーバーが「この“モノの株式市場”の立ち上げから指標となってきた」と語るスニーカーからスタートしたストックXは現在、バッグと時計のカテゴリーも追加し、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「シャネル(CHANEL)」「エルメス(HERMES)」「ロレックス(ROLEX)」「カルティエ(CARTIER)」「オメガ(OMEGA)」などの状態の良い中古品のバッグや時計が取り引きされている。
ルーバーによれば、ストックXの取引総額は17年6月時点で1億ドル(約112億円)を超えたという。香港のオークションハウス、クリスティーズ(CHRISTIE’S)のレジナルド・ブラック(Reginald Brack)前シニアバイスプレジデントやラグジュアリーEC、リアルリアル(The REALREAL)のシンシア・ホールトン(Cynthia Houlton)前ビジネス開発部門バイスプレジデントを迎え入れ、17年末までに2億ドル(約224億円)超えを目指す。