米出版社ハースト(HEARST)は、ニューヨークとペンシルバニア州に拠点を置く出版社ロデール(RODALE)の買収が基本合意に達したことを発表した。
ロデールは「メンズ ヘルス(MEN’S HEALTH)」「ウィメンズ ヘルス(WOMEN’S HEALTH)」などを発行しており、93タイトルを64カ国で販売している。一方で買収に名乗りを上げたハーストは300タイトルを発行し、デジタルでの展開も行っている。
ロデールは6月に身売りすることを発表したところ、ハーストの他に、メディアのメレディス・コープ(MEREDITH CORP.)やアメリカン・メディア(AMERICAN MEDIA INC.)が買収に名乗りを上げた。最終的には、ロデールとジョイントベンチャーを立ち上げるなど関係が深かったハーストが身売り先として選ばれた。
買収額は非公表だが、2億5000万ドル(約280億円)以下になると見られている。一方で、情報筋によるとロデールの300万ドル(約33億円)にも上る負債を含むさまざまなマイナス要因をハーストが背負うことから、実際の合意額は1億ドル(約112億円)以下だった可能性もある。ロデールの採算が取れないコンテンツは買収完了後に廃刊となり、ペンシルバニア州エマオの拠点も閉鎖する可能性があると見られている。エマオの雇用を創出していたロデールの拠点がなくなることで大量の失業者が発生する恐れがあるが、ハースト社はリストラや拠点閉鎖については回答しなかった。
デービッド・キャリー=ハースト・マガジンズ社長は「マリア・ロデール(Maria Rodale)会長兼最高経営責任者(CEO)は家族経営でロデールをここまで大きくした。われわれはすでにパートナーシップを組んで世界展開を行っている。わが社はロデールの持つブランドをポートフォリオに加えることができてとても光栄だし、今回の買収で需要の高まっている健康に関するコンテンツを拡充できた」と述べた。
一方でロデール会長兼CEOは「あらゆるテクノロジーやプラットフォームを用いて消費者とコンテンツをつなげるハーストの長年の取り組みに敬意を表する。わが社のブランドや従業員は、イノベーションを追求するハーストのカルチャーに馴染むことができると信じている。また、わが社が築いた70年の実績を、さらに成長させてくれるものと信じている」と、今回の身売りが前向きなものだったことをアピールした。