世界最大の縫製企業で、「ユニクロ(UNIQLO)」のパートナーとしても知られる香港のクリスタル・インターナショナル(CRYSTAL INTERNATIONAL、晶苑国際集団)が香港証券取引所に上場する。上場によって45億香港ドル(約630億円)を調達、主要な取引先であるファーストリテイリングとLブランズ(L BRANDS)も3000万ドル(約33億9000万円)を出資する見通し。同社の上場目論見書によると、2012年以降、世界のアパレル市場は年率3.9%で拡大し、16年には1兆3230億ドル(約149兆4990億円)に達したという。今後はさらに21年まで年率4.6%で拡大、21年には1兆6595億ドル(約187兆5235億円)になると予測。同社の世界シェアは現在0.4%。上場による資金調達により、世界的に成長を続けるアパレル市場で、シェア拡大を狙う。
同社はケネス・ロー(Kenneth Lo、羅楽風)が1970年に創業。5カ国で約7万人の従業員を抱え、年3億5000万枚のウエアを生産している。主な取引先には、「ユニクロ」「ジーユー(GU)」の他、「H&M」「ギャップ(GAP)」「ターゲット(TARGET)」などがあり、生産地は中国に合計で48万平方メートル、ベトナムに約41万平方メートル、カンボジアに約16万平方メートル、バングラデシュに約10万平方メートル、スリランカに約8万平方メートルの縫製工場を持つ。16年12月期の売上高は17億6300万ドル(約1992億円)、売上総利益は3億5500万ドル(約401億円)、純利益は1億2300万ドル(約138億円)だった。同社はジーンズでアジア1位、実用衣料とインナーでアジア2位、セーターでアジア3位の生産規模を持つ。
ロー一族は香港を代表する財閥の一つで、ケネス・ローの弟のカルポー・ロー(Law Kar Po、羅家寶)はパークホテル・グループの総帥だ。