「NARS」は2018年春夏コレクションの各都市のバックステージをサポートした。伊藤貞文NARS インターナショナル リード メーキャップスタイリストは今季、ニューヨークでは「アディアム(ADEAM)」、ロンドンと東京では「トーガ(TOGA)」のリードメイクアップアーティストを務め、メイクアップを監修した。各ブランドのルックを紹介する。
デザイナーの前田華子が香港で見た若者の、東洋と西洋を融合したスタイルにインスピレーションを受けた「アディアム」。メイクは、フェミニンでありつつ力強い女性を表現した。伊藤は「カラーパレットは洋服にも登場したソフトな色合いをイメージし、全体的にピーチトーンでまとめた。肌はパウダーをのせずにフレッシュに仕上げ、目元は柔らかなアイシャドウに、アイブロウやマスカラにポイントを置くことで、野性的な女性の強さを表現した」と語った。肌は自然な艶を残し、フレッシュに仕上げた。目元には淡いシマーなピンクとマットなブラウンの2色を混ぜたアイシャドウをアイホール全体にぼかし、艶やかな女性らしさを演出。一方でアイブロウはブラシで逆なでし、まつ毛もマスカラをたっぷりつけることで目元に強さをプラスした。チークはピーチトーンのブラッシュとブロンザーカラーを入れ、健康的に仕上げた。
ロンドンと東京で発表した「トーガ」は、ウォールストリートのサラリーマンのワードローブからインスパイアされ、スーツやシャツなどのマスキュリンなピースをデフォルメし、プリーツやシアースカートと合わせることによりフェミニンさをプラスした。メイクも、肌は春夏らしくフレッシュに仕上げた。ロンドンのショーでは、ファンデーションは「ベルベットマットスキンティント」を薄くのばし、ハイライトはリキッド状の「メーキャップイルミネイター」を2色混ぜた上に、粗めのラメが美しく光るアイシャドウ(18年春新製品)を重ねた。ポイントとなる目元は、一部のモデルにキラキラと輝くモールをまつげの上にのせ、きらびやかなアイメイクが完成した。また1人のモデルには、ピンクとレッドのモールをざく切りにし、リップにのせてインパクトを出した。伊藤は「春夏なのでフレッシュでクリーンな印象に仕上げたが、何かアクセントになるようなディテールを加えることがデザイナーの古田泰子さんの希望だった。そこで今回のコレクションに登場したキラキラのモールで作ったアクセサリーからヒントを得て、同じモールをまつ毛や口元につけたら面白いのでは、という話になった。“キラキラなつけまつ毛”というより、目元にアクセサリーをつけている感覚。肌は薄くのばしたファンデーションの上に、ハイライトとラメアイシャドウを重ね、艶を強調した。フレッシュでピュアだけれど、それだけで終わらないような、少し個性のある洗練された『トーガ』の女性像に合わせた」と語った。
東京のショーでは、スタイリストの北村道子がスタイリングを手掛けた。伊藤は「スタイリストの北村さんが『トーガ』の服はパターンが素晴らしいとおっしゃっていて、スタイリングはできるだけシンプルに、グレーとネイビーを中心に1体だけ赤が入りそれにヌードトーンを合わせるということだったので、メイクアップもシンプルにした」と語った。肌は「アクアティックグロー クッションコンパクト」と「ソフトマットコンプリートコンシーラー」を薄く伸ばし、肌の血色感を抑えるために「ソフトベルベットルースパウダー(1420)」を上にのせた。コントゥアやハイライト、アイシャドウ、アイブロウなどは一切使用しておらず、マスカラだけちょこっとのせた。「チークやリップに血色感は足さず、あえて白いルースパウダーでおさえ肌の生っぽさを消すことで目元を強調した。チークやリップに血色感は足さず、あえて白いルースパウダーでおさえて肌の生っぽさを消すことで目元を強調した」。