デンマーク発インテリア「フリッツ・ハンセン(FRITZ HANSEN)」は、アイコニックな“セブン(SEVEN)”チェアや“スワン(SWAN)”チェアなど名作家具で知られる。日本とデンマークは今年、外交関係樹立150周年で、その祝賀イベントのために来日したヤコブ・ホルム(Jacob Holm)=フリッツ・ハンセン最高経営責任者に、話を聞いた。
WWDジャパン(以下、WWD):「フリッツ・ハンセン」のブランド哲学は?
ヤコブ・ホルムCEO(以下、ホルムCEO):クラフツマンシップに裏付けされたメーカーとしてタイムレスなデザインの家具、照明、アクセサリーを生産している。デザイナーの野望を実現するのがわれわれの仕事。使い捨てではなく、デザイン性が高く、長期間使用することができる家具、いわゆるサステイナブルな家具を作り続けいている。最初に生産した“エッグ(EGG)”チェアはビンテージ家具として今でも使用可能だ。
WWD:世界でトップ3の市場は?日本は何番目?
ホルムCEO:1位がドイツ、2位が日本、3位がアメリカだ。日本へは約50年前に販売をスタートし、継続的に販売してきた。日本とデンマークは遠く離れていて文化は違うが、機能性や品質、ディテールに対するこだわりには共通点がある。控えめで高品質なものを好む傾向が似ていると思う。デンマークの木を使用したクリーンで正直なデザインは日本でとても評価が高い。建築家やインテリア・デザイナーからの支持も高く、まだまだ市場開拓の余地があると思っている。アメリカに関しては、大都市にフォーカスしていく。最近、タイ・バンコクに出店したばかりだ。フィリピン・マニラやインドネシア・ジャカルタなどにも出店する予定だ。
WWD:今後のビジネス戦略は?
ホルムCEO:クリエイティブかつ革新的であり続け、新たなアイコンを生み出したい。アルネ・ヤコブセン(Arne Jacobsen)などによる過去の名作があることは、とても幸運だと思う。過去の名作同様に人気が出る将来のアイコンの製作が課題だ。ラウンジチェアの“フリ(FRI)”やソファの”ルネ(LUNE)“などをデザインしたスペイン人のハイメ・アジョン(Jaime Hayon)とはとても相性がいい。彼は明確なデザインのアイデンティティーを持っている。家具だけでなく、ポーセリン(磁器)などあらゆるものを立体的にデザインできるから、彼のスタイルは「フリッツ・ハンセン」にぴったりだ。彼のデザインはまるで小さな彫刻のようだから。
WWD:ハイメの他のデザイナーの起用は?
ホルムCEO:セシリエ・マンツ(Cecilie Manz)には“プフ(POUF)”をデザインしてもらった。これからも新たなデザイナーと協業していくつもりだ。来年は日本人デザイナーとコラボする予定だ。
WWD:協業するデザイナーを選ぶ基準は?
ホルムCEO:基準は特にない。お互いに人間だから、コミュニケーションをとりながらどのようなシナジーがあるかを確かめ、コラボレーションする。お互いに、デザインに関して共通言語があるかどうか、そしてモチベーションがあるかどうかが大切だ。ガールフレンドや生涯の伴侶探しと同じようなものだよ。まず、デートして話して、お互いに合っているか確かめるんだ。終わりのない会話がずっと続いていくのさ。よい関係を築くには時間がかかるからね。
WWD:生産はどこで行っているか?
ホルムCEO:デンマークとポーランドに自社工場があるが、ものによってはヨーロッパのどこかで生産する場合もある。
WWD:アクセサリー小物の“オブジェクツ(OBJECTS)”が登場して約1年半たつが、売れ行きは?
ホルムCEO:想像以上の反響で驚いている。約20人のデザイナーとコラボして、クッションやスロー(ブランケット)、キャンドルホルダーなどを製作した。これからも小物類は増やしていくつもり。なぜなら、気に入ったらその場で購入して家に持ち帰ることができるから。家具はそうはいかないからね。1年に2回新作を出していくよ。
WWD:日本市場における戦略は?
ホルムCEO:今まで通り、品質にこだわる消費者に提案をし続ける。一般消費者の海外のインテリアに対する関心は高まっている。特にデンマーク商品に対する関心は高い。青山店に次ぐ路面店やディーラー店舗内のショップ・イン・ショップなどの出店を考えている。
WWD:新カテゴリーの追加等、チャレンジしたいことは?
ホルムCEO:まだ具体的になっていないが、ラグやカーペットの開発をしたいと思っている。