柳井正ユニクロ会長兼社長 PHOTO BY MICHIKA MOCHIZUKI
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日覚昭廣東レ社長 PHOTO BY MICHIKA MOCHIZUKI
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柳井正ユニクロ会長兼社長 PHOTO BY MICHIKA MOCHIZUKI
柳井正ユニクロ会長兼社長(左)と日覚昭廣東レ社長 PHOTO BY MICHIKA MOCHIZUKI
日覚昭廣東レ社長 PHOTO BY MICHIKA MOCHIZUKI
ユニクロと東レは10月24日(現地時間)、初の合同展示会をニューヨークで行った。両社のパートナーシップのもとに生まれ、年間1億枚以上を売る大ヒット商品になったヒートテックの15周年に際して、技術力を披露し、さらなるブランディングとマーケティングにつなげる。展示会に先駆けた柳井正ユニクロ会長兼社長と日覚昭廣・東レ社長の会見には、17カ国から約100メディア(米国50と海外50)が来場。これまでファッションメディアには知られてこなかった東レの技術開発力が明かされブランディングに寄与したのに加え、それらをベースに商品を作り進化させてきたユニクロの商品力と信頼性を高める好機会になった。
柳井社長は、「共通目標のもと、ワンカンパニーのように、あらゆる情報を共有して、新たな素材の開発から、生産、物流、マーケティング、改善・改良という、素材からお客さまからの声(の共有や反映)までのプロセスを一体化している。代表的商材のヒートテックをヒット商品に成長させてきた。成長は、東レとのゆるぎないパートナーシップによるものだ」と説明。さらに、「私たちが見ているのは、過去でなく未来だ。ソーラーパワーを活用して蓄電可能な服、よりなめらかなナノファイバーの服、その他にも斬新なアイデアがたくさんある。それを可能にする技術がわれわれにはある。服の未来を創造するのが楽しくて仕方ない。服を変え、常識を変え、世界を変えていく。これがわれわれの会社のステートメントだ。ぜひこの世界で類を見ないユニークな取り組みと、服に対する本当に真摯な思いを世界中の人々に伝えたいと思った」と開催理由を述べた。
また、「ユニクロの服は、国籍、年齢、性別、職業を超えた、あらゆる人々のための服、『メード・フォー・オール』を掲げた全く新しい服だ。自分のライフスタイルを作る高品質の道具、こういった服たちをわれわれは"LifeWear(ライフウエア)"と呼んでいる。高品質で快適なライフウエアを大量に圧倒的なスピードで世界中に提供する。世界中の誰もがどこでも買えるプライスで提供する。これが使命だ」としたうえで、「そのためには、素材開発から販売まで全てのプロセスを作り替え、実行する技術力が必要になる。それを可能にしたのが、東レとのワンカンパニーだ。ユニクロの服は、いわゆるファスト・ファッションではない。何シーズンも着られる、長持ちする服だ。使い捨ての服は作らない。ワンカンパニーの取り組みによって、異なる背景を持つ両社の出合いから、数多くのイノベーションが実現できた。お互いの知見を即座に活用して、その場で問題解決する。商品の作りすぎといった失敗は大幅に減り、資源の無駄を減らしてきた。オーセンティックな、誰にとっても良い服を作り続けてきた。『シンプル・メード・ベター』を合言葉にシーズンごと改善を繰り返してきた。単純なものほど、完成度の高い商品を作るのは難しい。これを途切れることなく続け、新たなイノベーションを生むために挑戦している」と訴える。
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一方、日覚・東レ社長は「レーヨンから始まり、繊維や化学製品、テクノロジー素材などを開発する一方で、素材から製品までのサプライチェーンを広げてきた。あらゆる製品のもとになる素材は、社会を本質的に変える力がある。世の中になかった価値のある素材を創出・提供して、社会に貢献することを使命とする東レと、ユニクロがパートナーシップを組むことで、これまでになかった商品が提供できた。志を共にした強者連合だ。"ヒートテック"も進化を遂げてきたが、私たちの研究開発とユニクロのマーケティング、お客さまの声の融合によるものだ。お客さまのニーズをもとにわれわれの技術力を生かして未来のコンセプトカーを作ったように、新たな"ヒートテック"や服の未来を創造したい」と語った。
「The Art and Science of LifeWear - Celebrating 15 Years of Innovation(ザ・アート&サイエンス・オブ・ライフウエア)」の展示会場は、両社の共同開発商品である“ヒートテック”“エアリズム”“ドライEX”“ウルトラライトダウン”“感動パンツ”を紹介するゾーンと、東レの先端技術の紹介ゾーン、そして、未来の服の可能性を示唆するゾーンで構成。
商品紹介ゾーンでは、白衣を着た東レスタッフが湿気に反応して発熱する“ヒートテック”をサーモグラフィーで表示するデモンストレーションや、コンパクトにポケッタブルになる“ウルトラライトダウン”をコーヒーカップサイズにまで圧縮体験できるコーナー、テキスタイルに水彩すると瞬時に色が広がることで吸湿性の高さを示す“ドライEX”コーナーや、肌触りの良さが体感できる”エアリズム”のテキスタイルで作ったカーテンコーナーなどを展開。中でも一番人気は、風船で宙に浮く“ウルトラライトダウン”の視覚的訴求コーナーで、通常の5倍のサイズで作った特大“ウルトラライトダウン”は、驚きを持って受け入れられフォトスポット化していた。
東レの先端技術を披露するゾーンでは、アクリルの糸から炭素繊維として"ボーイング787"の機体に、もう一方では“ヒートテック”などユニクロのウエアに使用されていることが一目で分かる展示物を用意。東レの素材が使われたロケットや自動車、月面探査ロボットなども展示された。特に"ボーイング787"は「軽量化や約20%の燃費向上、二酸化炭素排出量の削減などを実現。加えて、錆びずに湿度を保てるため、他機に比べて乾燥が抑えられ、強度が高まり気圧を高く設定できるため体への負担なども少ないなど、キャビンアテンダントからも好評だ」といった情報も提供され、注目を集めていた。
さらに、未来の服の可能性を示唆するゾーンでは、“ボディーコンシャス”“究極のなめらかさ”“パワードレッシング”“カラートレンド”の4つの次世代型技術を披露。生体情報を測定できる東レのスマートテキスタイル“ヒトエ(hitoe)”や、OPV(有機薄膜太陽電池)などの技術と、ユニクロのマーケティング力や開発力、顧客の声などを融合することで、将来実現可能になるかもしれないアイデア(たとえば、寝ている間に体調をリカバリーできるジャージや、昼間に蓄熱して夜寝るときはほんのりと温かくなるウエア、ポケットにスマートフォンを入れるだけで充電できるアウター)の一例を挙げた。
ユニクロと東レは、1999年に高機能軽量アウター“エアテック”の前身となるアウター用素材を提供したことから取引がスタート。東レは2000年にユニクロ向け専門部署「GO推進室」を設立し、“ヒートテック”を中心にユニクロの高機能性商材の素材の調達から製品化までを担当。06年からは戦略的パートナーシップを締結。16年からの第3期では5年間の累計取引額1兆円を目指している。