「ヴォーグ(VOUGE)」などを擁する出版社コンデナスト(CONDE NAST)は米国および欧州で発行する全ての媒体でフォトグラファーのテリー・リチャードソン(Terry Richardson)を起用しないよう、社員に対して通達したことが内部リークで発覚した。
リチャードソンは過激な性表現で知られ、過去に数々の有名人やセレブを撮影してきた大物写真家だが、モデルらがセクシャルハラスメント被害にあったと公表し、問題になった過去がある。
イギリスの新聞「ザ・デイリー・テレグラフ(THE DAILY TELEGRAPH)」は、リチャードソンを今後起用しないようにと記載されたコンデナスト インターナショナル(Conde Nast Iternational以下、CNI)の内部メールを入手し、記事にしたことで本件が発覚した。同メールはジェームス・ウールハウス(James Woolhouse)CNI副社長兼最高執行責任者が送信したもので、同社は一切のコメントを拒否したが、メールの内容については誤りがないことを認めた。また、米コンデナストは「当社は今後テリーと仕事をする予定はない。どんな形であってもセクシャルハラスメントは容認されるべきではない」とコメントを発表している。
これに対してリチャードソンの代理人は、「テリーは、すでに対処した話が持ち出されたことを残念に思っている。彼は正面から性について取り上げることで知られる芸術家で、作品の多くは“性”を題材にしている。しかし、被写体は全員同意の上で作品制作に参加している」とコメントを発表した。
コンデナスト社の今回の判断は、セクハラ問題で自身が立ち上げた会社を解雇された大物映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタイン(Harvey Weinstein)の件が社会問題になっていることがきっかけとなったと見られている。