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ウィゴーが投資会社の傘下に 創業者・中澤氏は代表権のない会長に

 ウィゴーは8月、創業者である中澤征史・社長(49)が保有する株式の88.5%を投資会社のオーチャードコーポレーション(東京、伊藤忠寛・社長)に譲渡した。中澤氏は代表権だけでなく、取締役も外れた会長職に退き、新社長には伊藤氏が就任。同時に2人の副社長も退任し、金融やITに実績のある外部人材を取締役に招へいした。10代から20代前半の若者に絶大な人気を誇り、急成長を遂げた同社だが、数年後の株式上場を見据えて経営体制の刷新を図る。

 25日に関係者向けに行われた説明会では、新しい経営陣が「一層の事業拡大の実現と収益機会を確保して、将来的には上場を目指す」と宣言した。中澤会長は「個人商店のやり方でここまできてしまった。だが先を考えると、ちゃんとした企業に変わらなければいけない」。とはいえ、店頭の販売員から多くの読者モデルやインフルエンサーを輩出することに代表される、ウィゴーらしい自由闊達な組織風土は維持していく。

 中長期計画の正式な数値目標は明らかにしていないものの、従来の急激な成長ではなく年5%程度の安定成長を目指す。同社の17年2月期の売上高は約350億円。「ウィゴー」などの国内既存事業の底上げで売上高400億円、ECや海外市場などの新規事業をプラスすれば600億円は可能とみる。16年2月期以降は、大量出店からスクラップ&ビルドに軸足が移ったため、売上高は横ばいで推移している。今後はオペレーションの強化や既存店の増床などで、1店当たりの収益性を高める。

 海外事業のポテンシャルにも期待する。現在は、香港に一昨年オープンした海外1号店と、同じく香港に今年9月開いた期間限定店のみの展開。この2店が好調なことに加えて、6店舗を構える原宿などを訪れる訪日客の口コミ、読モやインフルエンサーのSNSなどを通じて「ウィゴー」はアジアで知名度を誇っており、台湾、中国、タイ、シンガポールなどの流通関係者からの出店依頼が多い。新体制では具体的な多店舗化の準備に入る。

 ウィゴーの株式を取得したオーチャードコーポレーションは、これまでデジタルコンテンツのフライトシステムコンサルティングなどに出資実績があるほか、今年4月には低迷していたアパレル会社を買収して再建させた後、9月末に外部に売却した実績があるという。ウィゴー新社長に就いた伊藤氏は1966年生まれで、野村證券を経て、クレジットカード事業や人事コンサルティング事業の会社を設立するなどのキャリアを重ね、13年にオーチャードの社長に就任している。

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