日本唯一の冬開催のEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)系音楽イベント「エレクトロックス(electrox)」が4日、幕張メッセで開催された。トランスやダンス、エレクトロニカなどのジャンルを中心に国内外から27組のアーティストが出演し、DJアクトで参戦した植野有砂やモデルの藤本奈月らインフルエンサーも多数来場した。主催者発表によると2万人が来場した。
序盤に登場したクリョーマン・ライヴ(KRYOMAN LIVE)のステージでは、LED電飾で全身武装した3メートル近いロボット2体がパフォーマンスを披露した。スモークや火花を噴射する演出で会場のボルテージを一気に上げた。ロンドン発エレクトロデュオのアルーナジョージ(ALUNAGEORGE)は、ネクスト・モデルズ(NEXT MODELS)にも所属する女性ボーカルのアルーナ・フランシスが、フリンジのホットパンツに白のクロップドシャツというスレンダーなモデル体型の際立つスタイルで登場した。その上から羽織った白のロングシャツを羽衣のようにたなびかせ踊りつつ、甘いウィスパーボイスからソウルフルな歌声までを聴かせた。ダンスシーンの大御所DJ兼プロデューサーのディプロ(DIPLO)は、キャリアの中でもレゲエに傾倒したメジャー・レーザー(MAJOR LAZOR)のエッセンスが軸のセットで勝負。デジタル・レゲエなノリとダンスホール由来のマシンガンビート、ディスクロージャー(DISCLOSURE)〜ユーリズミックス(EURYTHMICS)〜カルヴィン・ハリス(CALVIN HARRIS)〜スティーブ・アオキ(STEVE AOKI)らのキラーチューンを矢継ぎ早にスイッチしていくDJプレイで会場を酔わせた。
来場者の客層やファッションは、都市型フェスならではの街のファッションの延長や、複数人でお揃いのコーディネートを楽しむ“ペアコーデ” “チームコーデ”など、2014年9月に日本初開催されたEDMフェス「ウルトラ ジャパン(ULTRA JAPAN)」と通じる点がある。また、冬場だが来場者のファッションはシーズンレス。まず、しっかり防寒をしたコートやダウンジャケットには、蛍光色や幾何学模様をチョイスするなどフェスで目立つためのこだわりが見られる。その一方、会場内の暖房空調が整えられているため、夏場と変わらない格好で楽しむ来場者も多い。ブラトップやクロップドトップスでのへそ出しルックにショートパンツを素足で合わせるのは冬でもスタンダード。セパレートの水着に毛皮のストールを巻きつけた来場者もいた。そして今回特に顕著だったのが、発光するEL(エレクトロルミネセンス)ワイヤーを用いたエレクトロウエアの着用率増加だ。これまではペンライトやブレスレット、ネックレス、ヘアバンドなどのアクセサリーでの導入が主流だった発光アイテムが、ウエアや靴にまで広がりを見せている。ELワイヤーで裾からフードまでをふちどったり、背中に柄を描いたパーカーや、ミッドソールが点滅発光するスニーカーが会場を彩っていた。その傾向と連動して、ELワイヤーを使った衣装を着て参加するダンサーチームの姿もあった。
そしてもう一つのトレンドアイテムが、セルフィースティック(自撮り棒)。手に持って場内を行き来する来場者が多く見られた。こだわりのファッションに身を包み、セルフィースティックを使って仲間とハッピーな写真を撮影し、すぐさまインスタグラムに投稿する。このトレンドが「エレクトロックス」でも定番と化している。ハッシュタグ「#electrox」をつけて投稿した写真が表示される場内ブース前では、投稿写真に見入る来場者でステージとは別の人だかりもできていた。
終演後には、日本初上陸となるニューヨークのEDMフェス「エレクトリック・ズー(electric zoo)」が5月6日に千葉県・海浜幕張公園 electric zoo beach Tokyo 特設会場で開催されることが発表された。2015年もEDMフェスの盛り上がりは続きそうだ。