ファッション

マーク・ゴンザレスの考える現在のファッションとスケート

 「アディダス スケートボーディング(ADIDAS SKATEBORDING)」が主催するスケートボードツアー「スケート コパ コート(SKATE COPA COURT)」が10月21日に昭島スタジオで開催された(悪天候のため、予定していた六本木ヒルズから会場を移動)。同ツアーでのパフォーマンスのため、“ゴンズ”の愛称で知られるスケート界のレジェンド、マーク・ゴンザレス(Mark Gonzales)も来日。「シュプリーム(SUPREME)」のアートワークも手掛ける彼にインスピレーション源や若手スケーターのファッション、SNSが流行している現在のスケートシーンについて尋ねた。

WWDジャパン(以下、WWD):1年ぶりの来日だが、日本の印象は変わった?

マーク・ゴンザレス(以下、マーク):そこまで変わっていないけど、なんだか雨が多い気がするね(笑)。

WWD:前回に引き続き、今回も「スケート コパ コート」のパークデザインを手掛けているが、デザイン上のポイントは?

マーク:ウォールライド(壁走り)というトリックを意識したデザインになっている。今のスケーターは障害物やセクション(ジャンプ台などの構造物)をどうこなすかというよりも、フラットな場所でどれだけ高く飛べるのか、ということを重視しているように感じる。そういったことを意識した障害物の配置にしているね。

WWD:自身のファッションにこだわりはある?

マーク:俺は服にお金をいっぱいつぎ込むのが好きなんだよね(笑)。昔、スケーターに見えないようにハイブランドの服をたくさん買っていた時期があったんだけど、無理だった。結局スケーターに見えてしまうんだよ(笑)。ただ、今はブランド関係なく着たいものを着るようにしている。特に“東京”とか“ブラジル”とかの文字がプリントされたTシャツを着るのにハマっているね。

WWD:若手のスケーターのファッションで変わってきた点はある?

マーク:最近は全身ブラックで統一したファッションの子が増えている気がする。たぶんファッション業界に自分たちのスタイルを盗まれたくない、という気持ちがあるんじゃないかな。黒だったらパッと見ただけではどんなスタイルか分からないし。スケートはボードの上で一人で行う個人技で、スケーターたちも個性を求めている。その個性を守るためにも一目では分からないように全身ブラックに身を包む人が多くなってきたね。俺が若い頃は「リーバイス(LEVI’S)」の“505”に誰かからタダでもらったTシャツを適当に合わせていただけだけど(笑)。

WWD:「シュプリーム」のアートワークなども出がけているが、インスピレーション源はある?

マーク:自然に浮かんでくるんだよね。「シュプリーム」に関しても俺の過去の作品を彼らが使うときもあるし、直近で描いたものを彼らに提供することもある。だから「シュプリーム」のためにデザインをしているというわけではないよ。これでお金を稼ごう、とかも考えていない。

WWD:2007年に息子が、11年に娘が生まれたが、自身のスケートライフで変わったことは?

マーク:家族と過ごす時間が大切になったね。スケートとか1人で過ごす時間も大切だけど、それよりも家族といる時間を増やす方が自分にとってもいいんじゃないかな、と思うようになったし、それが結果自分の幸せな気分につながる。精力的に何かに打ち込めるのも家族がいるからだよ。ただ、子供が大きくなると「ここに行きたい」「これは嫌だ」って言われるようになる。そうすると時には嫌な父親になって子供を否定しなければいけないこともあるんだよね。でも、なんだかんだ「YES」って言っちゃうんだけど(笑)。

WWD:今回のツアーには初の女性ライダーも参加しているがどう思う?

マーク:素晴らしいことだよね。それに、興味深い。

WWD:というと?

マーク:彼女達の動きは非常に独特で、俺たちがスケートをするときの動きとかタイミングとはちょっと違う。それが興味深い。今までも女性で活躍するスケーターはいっぱいいたし、尊敬しているんだけど、最近の女性スケーターは新しいことをしていると思うよ。ファッショナブルだし、男性の真似ではなくオリジナルなんだよね。

WWD:SNSの流行でトリック(技)の動画をすぐにネットで上げられるようになり、より“魅せる”スケートを意識するスケーターが増えたように感じるが?

マーク:良いと思うよ。俺はインスタグラムとかのアカウントを持っていないけど、ネット検索して見ている。すぐにネットにアップできる、というのは凄く良いことなんだけど、同時に問題が発生することもある。昔、あるスケーターが誰もやっていないようなトリックを成功させて、その瞬間を収めたビデオを販売する予定だったんだけど、他のスケーターがそのトリックを真似してネットにすぐにアップしてケンカになったことがあるよ。でも、ぶっちゃけ真似したヤツの方が上手かったんだよね(笑)。ただ、販売されたビデオ内では他のトリックも披露していたんだけど、それはめちゃくちゃ上手かった。面白いよね。SNSの発達はケンカを生むかもしれないし、新たな動きが出てくるのかもしれない。今後このムーブメントがどうなっていくのか興味深いね。

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