横編みニット機大手の島精機の17年4〜9月期決算は、売上高が前年同期比20.1%増の355億円、営業利益が同46.5%増の80億円、経常利益が同2.8倍の88億円、純利益が同2.8倍の65億円だった。バングラデシュやASEANへの販売が好調だった上、同社の無縫製ニット「ホールガーメント」機の販売が中国で大幅に拡大した。旺盛な需要を受け、受注残も同62%増の118億円になり、通期では売上高730億円、営業利益と経常利益が150億円、純利益100億円と、いずれも過去最高を更新する見通し。
今年5月に就任した島三博・社長は、決算会見で「ファッションビジネスのデジタル化、IT化の裏側にある生産システムの高度化を可能にするのは、世界でも『ホールガーメント』機を軸にした当社の製品だけ、という認識がようやく世界でも定着してきた」「当社の売り先であり、生産現場でもあるASEANやバングラデシュでは、ファッションビジネスのファストファッション化に伴い、小ロット
・短納期化が求められているため、当社の高性能なマシンへの置き換えが急速に進み、需要が急増している」と述べた。
同社の「ホールガーメント」機の4〜9月の販売台数は前年同期比で107台増の422台。猛烈に伸びているのが中国向けで、約半数近くを占めるという。島社長は「中国はボリュームゾーンの生産がASEANやバングラデシュに移行する一方で、SPA企業を中心に当社の『ホールガーメント』機を軸にしたデジタル生産システムが猛烈な勢いで確立しつつある。この分野では、日本よりずっとスピードは早く、進んでいる」と指摘する。
また、アディダス(ADIDAS)やナイキ(NIKE)などのニットスニーカーにも言及。ライバルのドイツ・ストール(STOLL)社に遅れを取っているのではという指摘に対し、「店頭で目にするニットスニーカーの中にも当社の機械を使ったものは非常に多く、遅れを取っているわけではない。『ホールガーメント』機を使えば、さらにトータルでスピードもコストも下げられるが、生産工程を大幅に変える必要があるため、導入はまだこれから。ただ、非常にメリットは大きく、数年内には大きく変わる可能性がある」。