百貨店大手5社の10月度の売上高は、3カ月連続で全社が前年実績を上回った。既存店ベースで三越伊勢丹が前年同月比0.6%増、高島屋が同2.3%増、大丸松坂屋百貨店が同1.2%増、そごう・西武が同0.1%増、阪急阪神百貨店が同3.6%増だった。当月は2週連続で台風が週末に接近し、前年同月に比べて土曜日が1日少なかったが、引き続き好調な訪日客(インバウンド)と富裕層による消費に下支えされた。
主力の中間層向けの衣料品は苦戦が目立った。秋らしい低い気温はプラス要因だったが、稼ぎ時の週末を台風に直撃されたのが痛手になった。婦人服が同3.9%減だった高島屋は「コートは2割増で推移したが、後半の悪天候で客足が落ちた」という。三越伊勢丹は基幹3店(伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店)の婦人服で前年並だったが「コートが好調なのに対し、中に着るニットやブラウスが低調だった」。
一方、それらを補ったのが訪日客と富裕層の購買意欲だ。免税売上高は大丸松坂屋が約2倍、高島屋が同62%増、三越伊勢丹の基幹3店が同55%増、シェアは小さいがそごう・西武も同90%増だった。日経平均が21年ぶりの高値を記録する中、富裕層による高額品消費に拍車がかかっており、高島屋は特選が同8.8%増、大丸松坂屋では時計・宝飾が同13%増と高い伸び率を維持している。