資生堂は、「ベアミネラル(BAREMINERALS)」を100店舗ほど閉鎖するようだ。対象はアメリカ国内の店舗で、ブランドは現在、アメリカ国内に209のカウンター有している。資生堂によると、同ブランドの年商はおよそ500億円程度だ。
資生堂は2010年に「ベアミネラル」を17億ドル(約1900億円)で買収。当時の「ベアミネラル」はテレビ通販専門チャンネルの「QVC」で売り上げを伸ばし、カリスマ最高経営責任者(CEO)のレズリー・ブロジェット(Leslie Blodgett)はパイオニア的存在だった。一方近年は競合のeコマース事業が成長したり、カラーコスメ市場が細分化したりの影響を受け、売り上げが低迷。同ブランドを含む北米市場は、営業赤字が続いている。資生堂は外部からデジタルに長けたトップを引く抜くなどして、ミレニアル世代に向けたデジタルマーケティングに投資するなどして活路を見出そうとしている。カウンター閉鎖は、固定費の削減により構造改革を進めるための一環だ。資生堂は、「『ベアミネラル』は、成長著しい自然派コスメ市場における、グループ内唯一のブランド」として、再起を誓う。北米では今春、買収したデジタル企業マッチコーによる技術を用い、消費者一人ひとりの肌質や肌色にマッチするファンデーションを選ぶ施策がヒット。こうした“パーソナライズ・コスメ”の可能性について資生堂アメリカのマーク・レイ(Marc Rey)CEOは、「消費者と親密な関係を築きたい。一人ひとりにピッタリの精進を提案するのが、その関係性の構築に最適だ」と話している。
「ベアミネラル」の店舗閉鎖は、2017年12月31日終了の通期決算の見通しを上方修正する発表の一部として公になった。同社によると、本年度の売り上げと営業利益は過去最高を更新する見通し。売上高は当初予想より200億円高い9850億円、営業利益は同じく90億円高い560億円を予想。北米を中心にプロフェッショナル事業を手掛けるゾートス(ZOTOS INTERNATIONAL INC.)の売却益を特別利益として360億円計上する。
一方、「ベアミネラル」についてはのれんなどの無形固定資産の減損処理のため、655億円の特別損失を計上。このため、純利益は当初予想より225億円少ない100億円を見込む。