皆川明さんとデンマーク・コペンハーゲンの陶芸デザイナーであるアンネ・ブラック(Anne Black)さんのワークショップの現場を訪れました。皆川さんとアンネさんが出会ったのは2005年。アンネさんが運営するコペンハーゲンのセレクトショップで皆川さんがデザインする「ミナ ペルホネン(MINA PERHONEN)」の洋服を取り扱ったのがきっかけです。その後、自然に交流が生まれ、昨年末、2人はコパンハーゲンで陶芸のワークショップを行いました。テーマは“フォレスト イン ザ オーシャン”。ワークショップでは、アンネさんの有機的なフォルムの壺やプレートなどに皆川さんが装飾を施した作品が完成しました。このワークショップに続き、2回目のワークショップを日本で開催。デンマークの土に似ているといわれる信楽(しがらき)の土を使用し、アンネさんがベースやオブジェ、プレートなどを制作。それらに、皆川さんが筆でテクスチャーを加えたりペイントしたりして、作品が完成していきました。
空間を共有することで生まれる表情豊かな作品
テーマに関して皆川さんは、「デンマークと日本とでは文化が違いますが、森と海はお互いに共感できる景色だと思います」とコメント。手を動かしながら皆川さんは、「このベースには、シャクヤクのような大輪の花が合うかなと思い、ベースの下の部分には茎のテクスチャーを、上にはシャクヤクの花びらが散るイメージを描いています」と説明してくれました。一つの作品の装飾にかかる時間は1時間程度。アンネさんは陶芸に、皆川さんは装飾に集中し、作品が完成していきます。「器に料理を盛る感覚と同じですね。直観的、即興的に装飾を施しています。私の役割は陶芸という主題を受け止め装飾することなので、控えめなタッチにしています」と皆川さん。向かい合って制作をしている2人の間に会話はありません。アンネさんは、「アキラとは安心して、同じ気持ちで制作ができます。結果的に美しいものができるのでうれしいです」と言います。皆川さんは、「お互いに気にせず、同じ空間にいるだけで影響し合っている。あまり思考は入りません。テーマの森と海の感覚の流れる中に2人がいるという感じですね」。
穏やかな時間が流れる中、完成した作品は11月10~19日、昨年のワークショップの作品とともに東京・青山のスパイラル5階のコール(CALL)で披露されます。